日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は1月26日、自社運用、アウトソース、プライベートクラウド、パブリッククラウドが混在するハイブリッド環境における最適化を支援するエンタープライズ向けソリューション「HP Hybrid Delivery」を発表した。その中核となる第1弾のサービスとして「HP Enterprise Cloud Services(HP ECS)-Compute」のサービスを開始する。
同社では、ビジネス環境の変化に対応するITを企業に提供する「Instant-0n Enterprise」を提案。その中で、「HP Coverged Infrastracture」「HP Application Transformation」「HP Information Optimization」「HP Enterprise Security」に、HP Hybrid Deliveryを加えた5つのソリューションの提供を明らかにしていた。
HP Hybrid Deliveryでは、「Cloud Service Automation」「BladeSystem Matrix」「HP Cloud Discovery Workshop」などにより、「変革」「構築」「活用」「管理と保全」の4つの観点から、ソリューションを提供していく考えを示す。HP ECSでは、最新鋭のデーセンターからサービスとしてプライベートクラウドを提供。サービス、処理性能、セキュリティ、プライバシーに関して締結したサービスレベルで管理し、拡張性と迅速な導入を可能にしているとした。
HP ECS-Computeは、2011年夏以降に提供を開始するという。
HP ECS-Computeは、ECSの第1弾に位置づけられるとともに、「HPが、エンタープライズクラウドサービスとして、初めて顧客に直接提供するアセットレスの商品。調達、設置、保守といった設備投資が必要なく、短期間に構築でき、従量課金の活用により、従来よりも低価格で提供できるだろう」(日本HP、エンタープライズサービス事業統括ITアウトソーシング事業本部クラウド・サービス ビジネスプランニング・マネージャの増永俊和氏)とする。
HP ECS-Computeでは、エンタープライズクラスのコンピューティングリソースをオンデマンドで提供。データを格納したデータセンターの場所を特定できるトレーサビリティ機能の提供、従来のアウトソーシングサービスと同レベルのセキュリティの確保、パフォーマンスキャパシティを60分間で追加できるサービスのほか、新規顧客向けにも基本準備は5日間で提供できるという。
「高レベルのパフォーマンス、アップタイム、セキュリティ、プライバシーが確保できる」(増永氏)とし、サーバ、ストレージ、ネットワーク、ソフトウェア、セキュリティの最適化利用、サプライチェーン、データベース、セールスポータルなど、処理量の変化や最大ピーク時処理要件の変化になどに柔軟に対応できるという。
日本HP、エンタープライズサービス事業統括ITアウトソーシング事業本部長の西尾新一氏は、「企業においては、変化に対して、迅速に、しかも完全に、環境にも配慮した形でITを活用することが求められている。アジアパシフィックのエグゼクティブを対象にした調査では、『要求に対して迅速に対応する必要がある』との回答が80%に達し、そのうち74%が24時間365日ノンストップでの製品、サービスを提供しなくては競合優位性を発揮できないと回答している。そうしたなかで、クラウドは不可欠な要素となっており、既存のアプリケーション資産に、クラウドに対する高い管理、保全が求められている。クラウドを取り込みながら、ITサービスを最適化していく必要がある」と述べ、「HP ECS-Computeは、安定、安心、迅速に活用できるクラウドサービスになる」とした。