基幹系での採用が進むオープンソース--エンタープライズDB設立の背景とは

田中好伸 (編集部) 2011年04月27日 09時00分

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 オープンソース(OSS)のデータベース(DB)「PostgreSQL」をベースにした商用DB「Postgres Plus」を開発する米EnterpriseDBは4月14日に、100%子会社の日本法人としてエンタープライズDBを設立した。代表取締役にはレッドハットで代表取締役社長を務めていた藤田祐治氏が就任している。

 Postgres Plusは、PostgreSQLを中核にして、企業のシステムに求められる信頼性や可用性などを向上させるために、運用管理ツールのほかに性能や可用性を高めるためのさまざまな措置をこらした製品であり、「Oracle Database(Oracle DB)」との高い互換性を持っているといわれている。Oracle DBとの高い互換性があると聞くと、興味を持つ情報システム部門の方も多いのではないだろうか。

Oracle DBの17%のコストで稼働

 PostgreSQLをベースにしていることから、その総所有コスト(TCO)もかなり低い。Postgres Plusはサブスクリプションモデルで提供されるため、ライセンス価格はゼロ。サーバ1台あたり2CPU、計8台のサーバで3年間稼働させるとすると、年間費用は21万5760ドル。これをOracle DBで計算すると、ライセンス価格は76万ドル、年間の費用が50万1600ドル、合計で126万1600ドルになるという。TCOで計算すると、Postgres PlusはOracle DBの17%のコストでDBを稼働させられることになる。

 エンタープライズDBから提供されるPostgres Plusは、開発やテスト用途、中小企業やスタートアップ企業向けの「Postgres Plus Standard Server(PPSS)」と、中堅企業から大企業までを対象に性能や可用性、セキュリティ、管理性を高めた「Postgres Plus Advanced Server(PPAS)」の2種類。税別価格は、サポート時間が9~17時の「Basic」と24時間サポートを受けられる「Premium」で異なっており、PPSSのBasicが1年間で9万8000円、PPSSのPremiumが50万円、PPASのBasicが30万円、PPASのPremiumが75万円となっている。

 現在、企業の年間のITコストのうち、7~8割が既存システムの維持管理に回され、戦略的な新規のシステム開発に投資できるのはわずか1~2割だと指摘されている。既存システムの維持管理にかかるコストをより削減したいと考えるのならば、Postgres Plusへの乗り換えも選択肢の一つになりうる。

導入コストを85%削減

 Postgres Plusは、この2~3年で大きく注目されるようになっており、コーヒーショップ運営大手のドトールは、受発注処理システムの基盤でPostgres Plusを活用している

 ドトールの受発注処理システムはもともとSun Microsystems(現Oracle)製ハードウェアの上にDBサーバとしてOracle DB、アプリケーションサーバに「WebLogic」(旧BEA Systems、現在はやはりOracleから提供)で稼働していた。ドトールは業務ロジックを変えずに、ハードウェアやソフトウェアの全面移行を選択している。

 移行後、IAサーバの上にOSとして「Red Hat Enterprise Linux」、アプリケーションサーバとして「JBoss Enterprise Middleware」、DBサーバとしてPostgres Plusを採用。これにより、導入コストを85%削減できているという(システム構築はサイオステクノロジーが担当している)。

写真 エンタープライズDBの代表取締役を務める藤田祐治氏

 ドトールの事例でも分かるように、Postgres Plusが目指すところは「Oracle DBのアプリケーションを変更せずに稼働させること」(藤田氏)だ。つまり「Oracle DB操作のスキルがそのまま使えることで、エンジニアコストの削減にもつながる」(藤田氏)ことにもなる。このことから藤田氏は、Postgres Plusによって「ベンダーロックインにならずにユーザーに選択の幅を広げることができる」と、そのメリットを強調している。

「企業は自社で必要なアプリケーションを開発したいわけであって、DBを選びたいわけではない」(藤田氏)

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