IDC Japanは6月7日、ビジネスコンサルティング、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)サービスから構成される国内ビジネスサービス市場規模予測を発表した。
これによると、景気低迷の影響で2009年および2010年の同市場はマイナス成長が続いたが、2011年にはプラス成長に転じる見込みという。
2010年の国内ビジネスコンサルティング市場規模は2568億円(前年比成長率マイナス4.4%)で、2009年に続いてのマイナス成長だった。しかし、国内経済状況は改善しつつあり、国内企業のコンサルティング需要も2010年10月以降拡大しているという。2011年の国内ビジネスコンサルティング市場の成長率はプラス0.5%で、2年ぶりにプラス成長となるとIDCでは予測している。また、2011年の同市場では東日本大震災の影響は限定的なものにとどまるとみている。2012年以降は、国内企業の海外市場進出支援やM&A支援のためのコンサルティング需要の他に、災害対策や事業継続性強化のためのコンサルティング需要が拡大すると予測している。
IDC Japanでは、BPOサービスを、人事、経理、購買、カスタマーケア(コールセンター)などの業務実行、支援を提供するサービスと定義している。2010年の国内BPOサービス市場は、前年比成長率マイナス0.2%の8202億円で、2009年に続いてのマイナス成長となった。しかし、BPOサービスをセグメント別に見ると、異なる動向が見られるという。
企業が従業員研修の費用を削減しているため、人事業務アウトソーシング市場の2010年の成長率はマイナスとなったが、コールセンターなどのカスタマーケア業務アウトソーシングや、財務/経理業務アウトソーシングおよび購買/調達業務アウトソーシングでは、比較的堅調な伸びを見せたという。2011年の国内BPOサービス市場は、東日本大震災の影響を受けるものの、景気回復による需要の拡大によって前年比成長率プラス1.2%となると予測している。
IDC Japanでは、2012年以降、国内ビジネスサービス市場では景気回復とともに需要の伸びも加速していくと見ている。同社ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏は「企業組織のグローバル化や業務プロセス改革による業務の効率化のニーズは、同市場のすべてのセグメントにおいて市場拡大を促進する要因であり、サービス事業者はこのニーズに応えるべく新たなサービスを提供していくことが求められる」とコメントしている。