IDC Japanは6月22日、従業員999人以下の中堅中小企業IT市場における地域別、販売チャネル別の2011~2015年の予測を発表した。2011年の同市場は東日本大震災の影響から各地域でIT支出が減速し、前年比成長率はマイナス成長になると予測している。
東日本大震災で被災した北海道と東北では、建物や設備の損壊、社会インフラの損傷で多くの企業で事業が停滞。そのほかの地域でもサプライチェーンの寸断、消費者の自粛による消費マインドの低下によって、多数の中堅中小企業で業績が悪化している。関東では、電力不足が多くの企業に大きな影響をもたらしている。
これらの状況から、2011年の同市場は各地域でマイナス成長を予測しているが、北海道と東北では前年比16.2%減、関東では前年比13.5%と2ケタのマイナス成長となっている。
西日本では、東北にある生産拠点の代替需要、東北での復興需要などの拡大で、多くの企業で業績は比較的早く回復するとみている。西日本でのIT支出前年比成長率は比較的小幅のマイナスにとどまり、近畿、九州と沖縄では前年比2.2%減を予測している。
2012年は、サプライチェーンの回復や復興需要の拡大によって中堅中小企業でも業績が改善する企業が増加することから、北海道と東北をのぞいて各地域でプラス成長に回復するとみている。2012年の近畿では、前年比が2.8%増、九州と沖縄では前年比2.8%増と比較的高い成長を予測している。
震災の影響で各地域でIT支出は減速しているが、地域によってIT支出動向は大きく異なっている。中部電力の浜岡原子力発電所が5月に停止し、東海でも電力不足の懸念が高まるなど、各地域で経済環境が急激に変化している。
IDC Japanの市村仁氏(ITスペンディングマーケットアナリスト)は「ITベンダーは、各地域のIT支出動向の変化に対して迅速かつ適切なソリューションの提供を可能にする体制を構築することがさらに重要となっている」とコメントしている。
※クリックすると拡大画像が見られます