SAP、インメモリアプライアンスソフト「HANA」のデータベース機能を大幅強化

田中好伸 (編集部) 2011年10月11日 18時45分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 SAPジャパンは11月7日からインメモリアプライアンスソフトウェアの新版となる「SAP HANA SP3」の一般出荷を始める。既存ユーザーは無償でダウンロードして利用できる。

 今回のSP3は同社が従来“1.5”と呼んでいたものになる。10月11日の会見で同社の馬場渉氏(リアルタイムコンピューティング推進本部長)はHANAの名称について「もともとは“HAsso's New Architecture”と呼んでいた」と説明する。

 HANAはSAP AGの創業者であるHasso Plattner氏がSAPと共同開発したものであり、「30年続くRDBMS、50年のHDDに代わるインメモリコンピューティングのDBMS」(馬場氏)という。その背景にあったのは「モバイル、情報爆発、クラウド時代のリアルタイムエコノミーの基盤データベース」(馬場氏)を開発しようというものだった。

写真 馬場渉氏

「システムのリアルタイム化をより進めるためのボトルネックとなっていたのがデータベース(DB)だった。システムの基幹部品であるDBを自前か第三者のものかを検討していたが、自前で開発することに踏み切った」(馬場氏)

 馬場氏がそう説明するように、今回のSP3での大きな特徴は、SAPのデータウェアハウス(DWH)ソフトウェア「SAP NetWeaver Business Warehouse(BW)」がサポートするDBとなったことだ。NetWeaver BWがサポートするDBは、Oracle DatabaseやIBM DB2などだった。

「HANA SP3はNetWeaver BWの既存ユーザーに大きなインパクトをもたらす。現在日本のNetWeaver BWユーザーは400社ほどおり、今後2年以内に半分のユーザーがDBをHANAに切り替えると見込んでいる」(馬場氏)

 馬場氏の説明によると、HANA SP3を先行導入しているユーザー企業が2社あると言い、「6時間かけていた処理が2秒で終わる」という成果が得られていると説明。「ものすごく革新的」という言葉で、馬場氏はHANA SP3の高性能を強調している。

 これまでHANAは分析することが目的のアプライアンスソフトウェアという面を強調していたが、今回のSP3からはデータベースという側面が強調されることになる。これらのことから、HANAは「High-performance ANalytic Appliance」の略称という意味合いが込められていたが、SAP内部でも「単にHANAと呼ぶようになっている」(馬場氏)という。

 HANA SP3では、DBシステムという性格上ミッションクリティカルなDBに必要とされる機能も追加されている。バックアップとリカバリの機能が強化されているほかに、監査や統合権限管理といった機能も追加されている。

 これとは別に、分析アプライアンスソフトウェアという既存路線を強化するものとして「ビジネスファンクションライブラリ」と「予測アルゴリズムライブラリ」の機能も追加される。ビジネスファンクションライブラリはたとえば「今の売り上げを去年の同時期と比較したい」といった要望に対応したものだ。どちらも「普通にSQLをかけるよりも早く答えを得られる」(馬場氏)ものという。

 HANA SP3の大型の新機能として馬場氏は「RICE」と「SLT」を挙げている。RICEは、オープンソースの統計解析処理言語「R」のアプリケーションをインメモリに対応させたものだ。Rは現在、統計解析アプリケーションを開発するための環境として大きく注目されており、「日本にもかなりの数の技術者がいて、今後3~5年で大きく伸びる」ものと期待されている。このRICE、「Rとインメモリ技術を統合したのは世界初になる」(馬場氏)という。

 一方のSLTは「SAPユーザー向けに提供していたリアルタイムロード機能」という。同社の統合基幹業務システム(ERP)パッケージである「SAP ERP」の「ヨコにHANAを設置して、SAP ERPでデータ更新がある度に更新されたデータをHANAに持ってくる」機能と説明する。「SAP ERPに手を加えることなく、リアルタイムにロードできる」としている。この機能は、従来のHANAのロードマップにあった機能になる。

 独本社のPeter Maier氏が語っているように、SAPジャパンは日本国内のパートナー施策を強化するとともに、グローバル展開を進める日本企業への支援体制を強化している。それはHANAでも同様だ。馬場氏の説明によると、グローバルのHANAの事業部門に日本と米国の法人が単独で参加しているという。そのほかの地域の法人はたとえばアジア地域として参加していることを考えると異例としている。

 またHANAの製品・技術支援チームは米パロアルトに拠点を構えており、チームは10人で構成。この10人のうち2人が日本人という。こうしたことから馬場氏は「日本企業のイノベーションを加速させるために、SAPジャパンはコミットメントしている」と、同社の意気込みを説明している。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
IT部門の苦悩
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
「企業セキュリティの歩き方」
「サイバーセキュリティ未来考」
「ネットワークセキュリティの要諦」
「セキュリティの論点」
スペシャル
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
より賢く活用するためのOSS最新動向
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
米株式動向
日本株展望
企業決算