米スターバックスは3月9日、デジタルを活用した経営革新を今後も続けていくため、2人の経営幹部任命を含む人事異動を発表した。最高デジタル責任者(CDO)として、Starbucks Digital VenturesのAdam Brotman前上級副社長、最高情報責任者(CIO)としてビジネステクノロジー部門の上級副社長Curt Garner氏が任命された。
最高経営責任者(CEO)のHoward Schultz氏は「ここ数年のソーシャルメディアやデジタル機器の普及により、消費者の行動が従来と大きく変わってきた」と指摘。スターバックスがその流れに沿ってIT投資を増やす意向であることが、今回の人事の背景にあるとした。
CDOに任命されたBrotman氏は今後、ウェブ、モバイル、ソーシャルメディア、カードビジネス、Eコマースなど、デジタルを活用したスターバックスの中核的ビジネスを担う。拡大しつつある店舗内でのデジタル/エンターテインメントの取り組みも併せて担当する予定だ。
今回、スターバックスがCDOという職を新たにつくった背景には、「スターバックスをより楽しむための会員サービス」として既にサービス展開中の「My Starbucks」といった取り組みがある。この4年間で、米Yahoo!の専用ポータル経由で有料サイトやサービスを無料で利用できるサービス「Starbucks Digital Network」などデジタル活用サービスを拡充してきており、これをさらに進める考えだ。
Brotman氏は2009年4月にスターバックスに入社する前は、デジタルメディア企業で上級副社長などの要職を務めていた。今後のレポートラインは、CEOのHoward Schultzになる。
一方、CIOに就任したGarner氏は、世界全体における技術分野と、業務運営組織でのエンジニアリングサービスを担当する。ここには小売り、ビジネスインテリジェンス、ソフトウェアエンジニアリング、技術サービス、情報セキュリティ、財務システムなどが含まれている。
Garner氏はスターバックスでの14年の間にさまざまな役職についた経験を持ち、直前はビジネステクノロジー部門の上級副社長を務めていた。レポートラインは、最高財務責任者(CFO)のTroy Alstead氏。
スターバックスは過去4年間、グローバルで労務管理、POS、在庫管理などさまざまな切り口で自社の小売事業に投資してきており、それを生産性の向上、パートナー契約、モバイル決済基盤の拡充などにつなげている。BrotmanとGarner氏は、Starbucks Senior Leadership Teamのメンバーに選出される。
なお、今回の人事により、前CIOのStephen Gillett氏が退職したことも発表文で併せて明らかになった。Gillett氏はBest Buyに移籍する。