ITプロフェッショナルが一部の人に十分に理解されないのは、なぜだろうか。この記事では、以下に列挙する理由の真偽を立証することはしない。ただ、ITプロフェッショナルが受けているいわれなき悪評は、顧客が本当だと信じていれば、それで十分だとだけ言っておけばいいだろう。
1.高給取りだと思われている
ITプロフェッショナルの稼ぎがいいことは、よく知られている。実際米国では、ITプロフェッショナルの年収は経営者と法律専門家に次いで高い。これは、稼ぎが少ない人から見ると、正しくないように感じられるようだ。くそ真面目な技術者タイプであるギークは、修士号を持っている人よりも稼ぎがいいのだ。人間の価値は年収で決まると見なされることも多いこの社会では、この事実は他のプロフェッショナルの自尊心を傷つける。
2.あらゆる問題に同時に対応することができない
工場システムや秘書のコンピュータが動かなくなったら、すぐにでも直す必要がある。しかし、熱い夏の日の空調修理のように、サービス依頼は集中してやってくることが多く、そんな時には顧客は待たされてしまう。最重要システムが数分間以上止まった経験がある企業は、待つことなどできない。
3.不可能なことをやろうとする
電話越しに患者を診断しようとする医者はいない。しかし、これこそITサポート担当者が日々やらされていることだ。われわれは、問題についてほとんど、あるいはまったく知らない顧客と電話越しに話して、遠隔から問題を診断し、解決することを期待されている。例えばわたしの父は、1つの問題を解決するのに、サポート担当者と電話で4時間以上話したことがある。この種の、顧客のハードウェアに直接アクセスする手段のないサポートは、すべての関係者にとって、よくてイライラさせられるものであり、悪ければ不可能だ(たとえどれほど見上げた忍耐と、助けようとしている人の献身的努力があったとしても)。問題を解決しようとして電話口で1時間以上費やしたことがある人なら、技術サポートスタッフが呪われた職業であることを理解できるはずだ。そしてIT業界が、問題の診断と解決を行おうとする前に簡単にすべての関連情報を集められる方法を見つけるまでは、ずっとこのままだろう。
4.不可能なことをやらされる
わたしは以前、Computer Sicences Corporation(CSC)にいた頃にやって欲しいと言われた「ミッションインポッシブル」について記事で触れたことがある。CSCには様々な顧客がおり、その一部は古風で難解なシステムを持っている。その手のシステムの問題を解決できる知識を持った人間は、世界中探してもそう多くはない。その時わたしは、何度かOS/2をインストールしたことがあったという理由で、OS/2の専門家であると見なされ、顧客のOS/2の問題を助けて欲しいと「頼まれた」。たしかに、わたしはいくつかのネットワークプリンタとハードウェアのインストールについては助けることができた。しかし、その時のわたしの最大の貢献は、オンサイトのCSCの上司に、顧客が雇った外注IT担当者をサーバー室から追い出すよう説得したことくらいだっただろう。わたしは最善の努力をしたが、上司が顧客から「次は自分がしていることを分かっている人間を寄越してくれ」と言われただろうことは想像に難くない。