クルウィットは6月21日、情報通信研究機構(NICT)が開発したサイバー攻撃警告システム「DAEDALUS(ダイダロス)」の技術移転を受け、商用サービス「SiteVisor」の提供を開始した。
DAEDALUS(Direct Alert Environment for Darknet And Livenet Unified Security)は、NICTのインシデント分析システム「nicter」が観測する約19万(5月現在)の大規模“ダークネット”観測網を活用することで、信頼性の高い不正通信を検知できる。
DAEDALUSは、組織内に機器を設置したりアプリケーションをインストールしたりといったことをせずに、IPアドレスの登録だけで利用できる。既存の境界防御ソリューションとの併用が可能で、組織のセキュリティ向上が期待できるという。マルウェアの感染活動検知以外にもサービス妨害(DoS)攻撃による跳ね返り(バックスキャッタ)や設定ミスも検知できると強調している。
nicter(Network Incident analysis Center for Tactical Emergency Response)は、ネットで発生するさまざまな情報セキュリティ上の脅威を正確に把握して、有効な対策を導出するための複合的なシステム。サイバー攻撃の観測やマルウェアの収集などで得られた情報を分析して、原因を究明する。
ダークネットは、ネット上で到達可能かつ未使用のIPアドレス空間を指している。未使用のIPアドレスに対しパケットが送信されることは通常のネット利用では稀といわれている。だが実際にダークネットを観測すると、相当数のパケットが到着していることが判明している。
こうしたパケットの多くは、マルウェアの感染活動などネットで発生している何らかの不正な活動に起因しているとみられている。ダークネットに到着するパケットを観測することで、ネット上の不正な活動の傾向を把握できるという。
DAEDALUSの商用サービスとなるSiteVisorは観測対象とするIPアドレスを登録するだけで、そのIPアドレスから発生した不正な通信を検知、通知する。早期に組織のネットワーク保護を実現できると、その簡便性を強調している。初期費用は1万500円。月額費用は1IPアドレスで1万5750円となっている。
中央の球状で表現されたネットから、その周囲を周回するリング状の観測対象組織(nicter)のダークネットに向かって、パケットが飛来している様子
リング状にマッピングされた観測対象組織のIPアドレスブロック。水色部分がライブネット(使用中IPアドレス)、紺色部分がダークネット(未使用IPアドレス)。異常検知されたライブネットのIPアドレスに「警」のアイコンでアラートが表示される
新規の異常が検知された場合には、画面全体にアラートアイコンを強調表示する