米Microsoftは、Officeをクラウド形式で提供する「Office 365」の販売方法として、新たにパートナー自身がエンドユーザーに請求書を発行できる「Office 365 Open」を開始する。同社がカナダのトロントで開催中のパートナーカンファレンス「Microsoft Worldwide Partner Conference(WPC) 2012」で発表した。Microsoftのパートナー企業がOffice 365のビジネスでこれまでよりも収益を上げやすくなるとの意見がある。
従来、Office 365の契約にはMicrosoftとエンドユーザーの直接契約の形態しかなく、実際に販売したパートナーにMicrosoftがキックバックの形でマージンを支払っていた。だがパートナーからエンドユーザーに直接請求したいという要望が世界中から集まったため、Office 365 Openを始めるとしている。これにより、パートナー企業はOffice 365にそれぞれの付加価値を加えてパッケージとして商品化し、エンドユーザーに直接販売できるようになる。
「Office 365 Open」を発表したSteve Ballmer氏
WPC会場内の多くのパートナーは、拍手でOffice 365 Openの開始を歓迎した。日本から参加したパートナーの1社、ステップワイズの代表取締役、長谷川誠氏によると、これまでOffice 365を販売しても「利益が薄く、別のサービスをいかに組み合わせて販売できるか」が勝負だったという。(利益率が低いため)Office 365を無理に売らなくてもいい、といった考え方になることもあった。
「大量にライセンスを売らなければ十分な利益が出ない。マイクロソフトが“中小企業に使ってもらいたい”とする割に、この仕組みは理解しにくいと思っていた」(長谷川氏)
一方で、日本マイクロソフトのパートナーソリューション営業統括本部統括本部長兼パートナー戦略統括本部 統括本部長で業務執行役員の佐藤恭平氏は、従来型のキックバック方式には「マイクロソフトから一定のマージンがパートナーに確実に支払われるという面でのメリットはある」とも話している。
調査会社Forresterの元アナリストで、Constellation ResearchのRay Wang氏も、基調講演で発表されたOffice 365 Openの取り組みを高く評価していた。