アクセス急増でも設計見直しが不要なKVS「Amazon DynamoDB」のスゴさ

三浦優子 2012年07月17日 13時46分

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 現在、Amazon Web Services(AWS)ではデータベース(DB)を利用する顧客に対して4つの選択肢を提供している。一つは自分自身で運用を行う、「Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)」の中にDBをインストールして使う方法だ。

 運用をAWS側に委ねたマネージドサービスとしては、Oracle DBやMySQL、SQL Serverを対象とした「Amazon Relational Database Service(RDS)」、NoSQLの一つであるキーバリューストア(KVS)の「Amazon SimpleDB」、インメモリキャッシュDB「Amazon ElasticCash」の3種類がある。

 Amazon RDSは2009年から提供され、モットーは「顧客が使っているデータベース環境をクラウド上でも同じように利用できる」こと。マネージメントコンソールから設定済みでサイズ変更可能なDBインスタンスを「ものの数分で起動できる」ことをセールスポイントとしている。AWS側が自動バックアップ、パッチ処理、レプリケーション、そしてリードレプリカを管理するので、管理が容易である上に信頼性が高い。

  • AWSが提供するDBサービス

  • Amazon RDSを利用した場合と自分で管理した場合の違い

  • Amazon RDSの特性

 こうした既存サービスに加え近年になって増えている、何かのきっかけでサイトへのアクセスが急増した際の対処方法として提供が始まったサービスがKVSの「Amazon DynamoDB」だ。

写真4 玉川憲氏

 「東京にあるデータセンター、東京リージョンでは今年3月から始まったサービス。データへの高速アクセスが必要な場合をはじめ、スケールが必要な場合、管理の手間を省いてTCO(総所有コスト)削減を求めている利用者、複雑なクエリやトランザクションが必要ない場合に適したサービスで、4つの特徴を持っている」とアマゾン データ サービス ジャパンのソリューションアーキテクチャ本部技術統括部長でエバンジェリストも務める玉川憲氏は話す。

 その特徴とは(1)高い拡張性、(2)管理不要、(3)データへの高速アクセス、(4)信頼性の高さ――という4点となる。

 拡張性については、サーバを自前で運用している場合、拡張するためにはより高性能はハードウェアを購入する、DBを分割して複数のDBサーバを用意して負荷を分散するといった方法がある。

 DynamoDBは、ディスクをはじめ必要な仕組みはAWS側が提供。パフォーマンスについても、利用者側が設定すればそのパフォーマンスに必要なハードウェアなどはAWS側が提供する。当然、管理者など専任担当者を配置しなくてもよい点も大きなメリットとなる。

 「ソフトウェアを購入した場合では実現できない、サービスという形態だからこそ実現する拡張性となっている」(玉川氏)

 管理不要であるのは、AWSで提供している他のサービスと同様。サービスとして提供しているため人員を配置して作業を行う必要がない。データへの高速アクセスについても、バックエンドでSSDを利用しているため、ハードディスクを利用している場合と比較してアクセス速度が速くなる。

 信頼性という点では、データを距離の離れたデータセンターにコピーすることでトラブルを受けにくい仕組みとなっている。例えば東京リージョンだけでなく、シンガポール、米国と物理的に同時に被害を受けにくい、3カ所に分散してデータを保存する。サーバ障害、データセンターの障害のどちらも受けにくくする。

 DynamoDBの東京リージョンでの利用料金は、保存容量100Mバイトまでは無料で、さらに1秒ごとに書き込み最大5回/読み込み最大10回のスループットが無料仕様枠として提供される。

 モデルケースとしては、1秒ごとに10書き込みスループット/100読み込みスループット、10Gバイトのデータ、1Gバイトのアイテムサイズの場合で、月額コストは2900円(1ドル=77円換算)となる。

  • DynamoDBの利用料金

  • DynamoDBを利用するソーシャルゲーム運営のgumi

  • 講談社のDynamoDBの活用方法

 日本のユーザーとしては、ソーシャルゲームを提供するgumiが全てのデータをDynamoDBで管理している。講談社ではコンテンツサービスにDynamoDBを導入し、タイム・トゥ・マーケットとTCO削減に成功したという。

 「gumiさんの場合は、DynamoDB利用前は、ユーザー数が増える度にキャッシュなどの設計をし直す必要があったそうだが、導入後はユーザー数が急増しても設計の見直しなどの手間ががなくなったと聞いている」(玉川氏)

 DynamoDBにはこうしたメリットがあるものの、全てのDBをこれに置き換えることができるわけではない。「マネージドサービスとしては3種類のサービスを提供していると最初にお話ししたが、適材適所を見極めて利用していくことが必要」と玉川氏は指摘している。

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