VMwareは8月27日(米国時間)、米サンフランシスコで年次カンファレンス「VMworld 2012」を開催。9月に同社CEOに就任するPat Gelsinger氏(現 EMC 情報インフラストラクチャ製品部門プレジデント 兼 COO)が基調講演で、「vRAM」による課金を撤廃することを明らかにした。
VMwareでは、仮想化プラットフォーム「vSphere 5」から新ライセンスモデルに移行。従来のCPU基準のモデルだが、物理RAMの制約が排除された代わりに、仮想化ベースのライセンスとして、プールされたvRAM(仮想メモリ)の利用権限が付与されていた。
これは、システムの仮想マシン(VM)がどれだけ仮想メモリを利用するのかを課金の基準にすることを意味している。システム全体で、実メモリに関係なく、エディションごとに利用できるvRAMの上限が決まっていた。
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Gelsinger氏は基調講演で、「アップルは製品(の冠)に“i”を付けている。VMwareは“v”を付けているが、こういうものがあった——vRAMだ。これはもう終わりにしよう」と述べ、会場を埋めた聴衆から喝采を浴びていた。
大きな歓声を受けた背景には、ユーザー側の不満がある。
まず、利用する仮想メモリの量で課金される額が変わると、ユーザー側での予算管理が難しくなってしまう。一方で、vRAMによる課金を適切に管理しようとすると、今度は仮想化環境の管理がより複雑になってしまうことにつながり、いずれの場合でもユーザー側の負担が増えてしまうのだ。
同社日本法人のヴイエムウェアでストラテジックアライアンス部長を務める名倉丈雄氏は、「約3万ユーザーを対象にしたアンケートをグローバルで実施した結果、困っていることのトップの方に挙がったのがvRAM(による課金)だった」と明かす。今回の撤廃は、VMwareがユーザーの声を聞き、不満があれば正しく直すということを表明する狙いもあるだろう。
同社では、使った分だけ支払うという点において、ユーザーにメリットがあると考えていた。しかし、VMware現CEOのPaul Maritz氏は同日開催された記者会見で、「今までとても複雑にしていたことを認めた、ということだ」と述べ、新ライセンスモデルが浸透しなかったことを事実上認めている。顧客にとっては、イニシャル(初期投資)で払い切ってしまいたいという要望が強いことが伺える。
vSphereは今後、従来のCPU単位の価格体系で提供されることになる。
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