米Googleは、ソーシャルサービス「Google+」の企業向け機能を拡充。企業用途に最適化した新機能を追加し、Google Appsの企業ユーザーにプレビュー版として提供中だ。
今回のGoogle+の企業向け機能は、Google Appsのユーザーであれば、2013年末まで無料で利用できる。今後さらに様々なツールや管理機能を追加していく予定で、Google+とGoogle Appsとの連携機能の強化を継続し、Google+の企業への浸透を推進していく意向だ。
企業が内部でGoogle Appsを利用している場合、今回の新機能により、Google+への投稿の共有を制御できるようになる。管理者は、投稿を社内限定に設定できるとともに、その投稿は企業内だけで公開され、外部からの共有はできなくすることもできる。
一方、設定により、ユーザーは投稿を限定された外部のビジネス上のパートナーと共有できるなど、より柔軟な設定もできる。
Google+のビデオチャットツールのハングアウトを有効に活用できるようになったことも注目される。ハングアウトでは、ウェブカメラとインターネットを通じ、パソコン、スマートフォン、タブレット型端末などから同時に、10人までのビデオ会議ができるほか、Gmailからも直接参加することが可能だ。
ビデオ会議の参加者がドキュメントを共同編集することもできる
また、ドキュメントを用い、参加者と同時進行でドキュメントを編集できる。さらに、今回、ハングアウトとGoogle カレンダーの連携機能も加わり、カレンダーから直接ビデオ会議に参加することも可能になる。
ハングアウトでも管理機能が強化され、ユーザーが確実に意図した相手とだけ共有できるように、管理者はあらかじめ設定した投稿の共有範囲を企業内のユーザーに適用できるほか、ハングアウトの限定アクセス機能を使えば、組織内だけでのやり取りに制限したビデオ会議にすることができる。
同社によれば既に数カ月間、Google Appsを利用している複数の企業に、Google+を従業員同士をつなげるためのツールとして試験的に利用してもらっているという。これらの各社からテストのフィードバックを受け、サービスを改善している。Googleは今後、Google+のモバイル向け機能の強化も考えており、企業向け機能の充実化をさらに推進する方針だ。
グーグル(日本法人) エンタープライズ部門 シニアプロダクトマーケティングマネージャーの藤井彰人氏は「10-20年前、最先端のITを利用していたのは、大手企業のIT部門だった。しかし、インターネットの進化により、いまや、コンシューマーの方がリッチな機能を使っている」と話す。
グーグル(日本法人) エンタープライズ部門 シニアプロダクトマーケティングマネージャーの藤井彰人氏
ITの最新の成果をまずコンシューマーが享受し、企業はそれに追従するといういわゆる「コンシューマライゼーション」の流れはますます強くなり、ソーシャルメディアを企業内ツールとして活用しようとの動きも、この潮流の影響の一端といえる。企業向けソーシャルメディアは、今後のIT新市場の争点の一つとして浮上するのは確実だ。
今回の企業向け機能の無償提供は2013年末までで、同社はその後については未定としている。今回の施策は、企業とソーシャルメディアの需要拡大を見据えた戦略といえる。