ITはいつでも流行に動かされてきたが、最近では流行や関連する流行語の影響が大きくなってきている。特に、自分たちの部門を改善するのにテクノロジが利用できることに気付いた事業部門にとっては、流行は重要になってきている。
ニュースの見出しになることが多い流行語を、いくつか挙げてみよう。
- ビッグデータ
- クラウド
- BYOD
- ITのコンシューマライゼーション
- 仮想化
- SDN(Software Defined Networking)
このリストはいくらでも続く。これらの流行はすべて一度にやってくるが、IT部門はビジネスを支えるために動いている、何十から時には何百というシステムを維持する通常業務を続けてこなさなければならない。それに加え、ユーザーからの要求は以前にも増して強まり、遅れや質の悪いサービスは許容されなくなっている。
率直に言えば、現在のテクノロジ環境で必要な、まったく独立したスキルセットの数は恐ろしいほど多くなっており、少ない人員でどのIT部門にも期待される数多くの基本スキルをまかなわなければならない小さなIT部門にとっては、この問題は特に深刻だ。新たな期待が増えているのに、最高情報責任者(CIO)が追加人員を雇うのは難しいという場合、前に進むのは次第に難しくなっていく。
CIOができること
幸運なことに、CIOがこの状況と付き合っていく方法はある。しかし、それらの方法にはすべて、組織の内部・外部の両方の人材との深いパートナーシップが必要になる。率直に言おう。もしあなたがCIO、ITディレクター、あるいはその他のITに経営レベルの責任を負う人間であり、何らかの形のパートナーシップを作る気がないのであれば、あなたは間違っている。ITが成功するには、深いパートナーシップが必要不可欠だ。
ガバナンス構造を作るわたしは、仕事が多すぎ、働きすぎているIT部門を抱えていると見なされている組織で、その根本的な原因は本物のITガバナンスの欠如にあるという例を数多く見てきた。そういった組織では、IT部門に舞い込んでくるあらゆるテクノロジプロジェクトや要求の優先順位づけ、計画、実現は、すべてIT部門に任されている。多くの場合、IT部門がそれらを押し戻そうとすると、要求する側の部門はIT部門が対応せざるを得なくなるまで、単純にその要求を上に上げていく。その結果、IT部門は多くの優先順位の高い要求を一度に抱え込み、ユーザーは誰も満足せず、評判も落ちるという結末になる。
正しい代表者から構成されるガバナンス構造があれば、この混沌は制御できる。組織全体からの支援を受け、技術的な要求についてじっくり考え、議論し、最終的に優先順位づけを行うことができれば、ITスタッフが十分に機能するようにし、作業にもある程度の方向性は持たせることは可能だ。
なんらかの形のガバナンスは、必要不可欠だ。もしあなたがこの節を読んで、自分の組織では特にガバナンスは必要ないと判断するのであれば、ここで読むのをやめて構わない。わたしは、これが効果的なITマネジメントの基本的な構成要素だと考えている。もし、ガバナンスモデルを作るのを許さない上司の下で働いているのであれば、あなたの人生はこれからずっとひどいものになっていくはずだ。履歴書を送り始めるべきだろう。