米Citrix Systemsの“未来の職場”の調査によると、ほとんどの企業が2020年までに現在のオフィススペースの6分の1(17%)を削減したいという考えが明らかになっている。10人の従業員に対して机は7台、従業員1人あたり6種類の異なる端末で社内ネットワークにアクセスして業務をこなすと予想される。決定権を持つIT管理者19カ国1900人を対象に調査した。
IT管理者の3分の1が、会社を拠点とした従来型の働き方はしないだろうと回答している。この回答を、地域別にみて最も高いのがアジア太平洋の33%。続いて米国が29%、欧州が27%となっている。国別では、トップがロシアの68%、2番目に60%で日本、3番目は米国の35%。ロシアと日本は世界平均の約2倍だ。反対に低いのがブラジル(23%)、スウェーデン(7%)、台湾(4%)。アジア太平洋と欧州で国によって大きな差がある。
いつでもどこでもオフィスと同じように仕事ができる働き方“モバイルワークスタイル”の実現性を聞くと、「今すぐ実現できる可能性がある」との回答の割合はロシアが18%、日本が24%、米国が35%となっている。ロシアでは、会社を拠点とした従来型の働き方をしない割合が7割だったのに対し、従事できる可能性については2割という結果だ。日本での実現可能性が世界平均並みであり、日本ではモバイルワークスタイルの進化に着実に対応できるだろうと予測している。
会社を拠点とした従来型の働き方の代わりに「どこで働いていると思うか」という問いに対する回答の上位は自宅(64%)、仕事現場(60%)、他社の職場(58%)、得意先や提携先の職場(50%)という“準定住型(セミパーマネント)”の場所を拠点にしていると説明。そのほかに、ホテルや空港、喫茶店、移動中の交通機関から社内ネットワークにアクセスして業務をこなすことを想定している。
モバイルワークスタイルを推進するメリットとしては、より柔軟な職場になる(73%)、従業員に関する経費支出の低減(53%)、不動産費用の削減(48%)、人員削減費用の低減(36%)などコストに関連した項目が挙げられている。また、優れた人材の獲得(47%)、優れた人材の維持(44%)といったこともメリットとして挙げられている。このことから、設備投資や端末を購入するコストを負担しても、モバイルワークスタイルのメリットは十分にあると見られていると分析している。
調査では、83%がモバイルワークスタイルをすでに導入、もしくは12~24カ月以内の導入を目指していることも明らかになっている。従業員が社内ネットワークにアクセスする端末として、“私物端末の業務利用(Bring Your Own Device:BYOD)”を活用することを奨励し、76%が従業員が購入する端末費用の全額か一部を補償している。
現状でBYODが「奨励されている」割合が米国で60%、日本で16%。だが、12カ月以内に「奨励されるだろう」という割合は、米国で15%、日本で40%となっており、今後日本でのBYODの浸透が期待されるとしている。
一方でBYODの課題を見ると、情報セキュリティの懸念(58%)、独自端末によるリスクの把握(50%)、コンプライアンス対応での課題(47%)が上位に挙がっている。モバイルワークスタイルを推進しながらも、企業としてBYODを採用する際に適切な管理体制のもと端末、端末上のアプリケーションやデータ、法的な課題などを確認する必要があると提言。そのためにも、法令や技術的統制を事前に検討しておく必要があると説明している。