従業員がBYODに踏みきる4つの理由

Steve Ranger (TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2012-08-31 07:30

 従業員による私物機器の持ち込み(BYOD)を禁止しようとしても、機器をこっそり持ち込まれるようになるだけである。このためIT部門は、従業員がお仕着せのハードウェアに不満を感じる4つの理由を押さえたうえで、対策に取り組んでおく必要がある。

 IT部門がサポートコストを削減するために標準化を行い、特定機種以外のデスクトップPCの使用を認めないようにロックダウンすると、従業員らは企業のIT機器に対する不満を高め、BYODを可能にするようなポリシーの採用を求めてくるはずだ。

 BYODを認めることで、従業員は自らで選んだノートPCやスマートフォン、タブレットを購入し、会社のITシステムに接続、使用できるようになる。一方、調査会社であるForrester Researchのレポートによると、一部のIT部門が採用しているような強硬姿勢は、「多数の従業員がずる賢い方法を用いて、こっそりと主導権を奪い取る」という「許容できないレベルでのBYOD」のまん延を引き起こしてしまうという。このため、IT部門の「べからず集」によってBYODは無くなるどころか、地下に潜ってしまうと同レポートでは警告している。

 またForresterのレポートによると、従業員は会社からの貸与品ではない機器も使用して仕事を行っており、平均的なパワーユーザーであれば3台以上の機器を使用しているという。

 このレポートによると「従業員はこういった状況に満足しておらず、自らの仕事をこなすために、コンピュータに対して平均すると年間1253ドルもの出費を強いられている」という。また、従業員に対してBYODを奨励している企業は12%しかなく、ほとんどの企業では明確に禁止しており、違反者に対する罰則を設けているところもある。

 「Five Steps To A Successful BYOC Program」(BYOCプログラムを成功させるための5つのステップ)というForresterのレポートによると「従業員のニーズとIT部門のスタンスが一致していないのは明らかであるものの、ほとんどのインフラや運営組織は方針転換のための適切な準備ができていない」という。

 Forresterのアナリストは、こういった柔軟性の欠如がIT部門の標準化に対する固執、すなわち会社のPCをできるだけ同じ機種にすることでロックダウンを行い、サポートの必要性を減らしてIT運用コストを下げようとすることから来るものであると主張するとともに、こういったアプローチが「生産性の低下という意図せぬ結果を現場にもたらす」ことにもなると述べている。

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