「コンシューマライゼーションで開発中心の企業に変貌」--インフォア幹部

三浦優子 2012年11月05日 09時00分

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 米Inforは、2011年から現在までに102に上る新製品をリリースした。これは昨年開催した「Infor Customer Forum」の席上で宣言した、「製品開発中心の会社へ変革を遂げる」という宣言を実践した結果である。

 コンシューマー向けソフトウェアならともかく、Inforのように業務向けアプリケーションメーカーがこれほど急激に製品をリリースした狙いはどこにあるのか。米Inforで開発と製品マネジメントを担当するバイスプレジデントであるジェームス・ウィリー(James Willey)氏に聞いた。

 「我々が開発中心への会社へと変貌を遂げたのは、ユーザーからの期待に答えた結果だ」――米Inforで開発と製品マネジメントを担当するバイスプレジデント、ジェームス・ウィリー氏はこう断言する。

ジェームス・ウィリー氏
ジェームス・ウィリー氏

 「現在は、企業側がアプリケーションプロバイダーの言う通りに会社の仕組みを変えるなんていう時代ではない。短期間に、低コストで結果を素早く出すソフトウェアが求められている。特に業種に特化したInfor製品は、目的を決めた上で導入が決定される。かなりの投資を行ってInfor製品を導入されたお客様の期待に応える製品でなければならない」

 Inforの顧客は、航空宇宙産業上位10社のうち8社、製薬会社大手10社中9社、自動車部品サプライヤー上位100社中80社といったように大手企業が多い。そうした大手企業ユーザーであっても「2年かかるITプロジェクトに数百万ドルのコストをかけてもらうといった主張をITベンダーができたのは過去のことだ」とウィリー氏は話す。

 Inforではコストを抑え、短期導入ができるようなソフトウェアのラインアップを増やすとともに、従来よりも対応業種を細分化した。企業が自社の業種を選択することで、より短期間に稼働ができる環境を整えた。

カスタムメイドにこだわらない企業が増加

 日本の大手企業が業務で利用するアプリケーションはカスタムメイドが当たり前だった。競合他社が利用するものと同じアプリケーションを利用することで競争力にマイナスになるのではと危惧する声もあったが、「私も業務アプリケーション業界で長年仕事をしているから実感するが、6、7年前頃から日本のユーザーも大きく変貌した。カスタムアプリケーションにこだわらない企業が増えてきた」という。

 しかも、Inforには業種別アプリケーションは各業種1つのアプリケーションしか存在しないわけではなく、必要に応じて拡張できるツール『Mongoose』を用意している。独自性のあるアプリケーションにすることも十分に可能な仕様という。ユーザー側に変化が起こっている上、オリジナルな価値をつけることも容易だと説明する。

 新しいソフトウェアを一斉に発売することを可能とした背景として、同社のオリジナルミドルウェアコンポーネント「ION」の存在がある。IONを介してそれぞれのアプリケーションが統合され、さらにクラウドとオンプレミスソフトウェアとの統合、他社のクラウドサービスとの統合まで実現することを可能とした。メイン製品である「Infor 10」をはじめとしたInfor製品を統合する役割をIONが担っている。

 「様々な業務アプリケーションを統合することは、色々なソフトウェアベンダーが模索している。我々の競合企業を見るとポイント・トゥ・ポイントとの統合、1つの製品ですべてを統合するといった方法をとっているようだ。しかし私はインターネット時代のアプリケーションは疎結合であるべきだと考えている。お客様が素早くアプリケーションを装備できるようにするためには最適な方法だ。しかも、IONのような疎結合でアプリケーションを統合するミドルウェアであれば、各国ローカルの法規制などに一元化して対応するといったアプローチを取ることもできる」

 このION、Infor製品を利用するユーザーにとって重要なテクノロジーであると同時に、Infor自身にも欠かせないものだという。

 「“本当にIONはアプリケーション間を統合することが可能なのか?”という懐疑的な質問を受けることもあるが、それに対してIONは我々Infor自身が最も必要な製品であり、最初のユーザーとして使い込んでいるのだとお答えしたい。ご存知の通り、Inforは買収を積極的に行っている。買収によって新たに仲間となった企業のソフトウェアを統合するために、IONをフル活用している」

 IONが存在することで次々に新しいソフトウェアをリリースしても、従来のソフトとも統合されることになる。

 さらにモバイルプラットフォーム「Motion」を利用すれば、移動中でも情報活用が可能になるなど、新しいソフトウェアを活用することで業務にプラスアルファの要素が生まれることになる。

 もう1つ大きく変貌を遂げたのがユーザーインターフェイス(UI)部分だ。Facebookを思わせるようなSNSライクなインターフェイスが採用された。HTML5ベースで、従来の業務アプリケーションとは一線を画する情報満載のリッチな画面となっている。

 「このUIも利用者からのニーズがあって採用した。コンシューマライゼーションによって企業が使うシステムの世界にも変化が訪れるようになった。家庭で利用しているソーシャルのコミュニケーションや情報取得が仕事の場でも利用できないのか? と考えるユーザーが増えている。そのニーズに応えたものだ。従来型の業務アプリケーションらしいインターフェイスも利用できるが、見比べてもらうと新しいものの人気が高い」

 欧米ほどSNSが普及していない日本では、SNSライクな画面を業務で利用することには抵抗があるかもしれない。しかし、このUIを採用したのは決して見た目を重視したからではない。企業ユーザーにとって業務効率アップにつながると判断したからである。

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