IDC Japanは2月26日、国内のデータセンター向け設備市場予測を発表した。データセンター新設に伴う空調設備と無停電電源装置(UPS)設置のための投資金額を調査している。
データセンター向け空調設備は、データセンター内に設置されるサーバから発生する熱を冷却し、温度の上昇によるサーバの故障や誤作動を防止するという役割を持っている。空調設備市場は、2012~2016年に年平均成長率(CAGR)3.2%で推移して、2016年には461億円に達すると予測している。
データセンター向けUPSは、突発的な停電時にサーバなどのIT機器に一定時間電力を供給する。大規模データセンターでは、停電発生時から非常用発電機による電力供給が開始するまでUPSでIT機器を正常作動させるために使われている。UPS市場は2012~2016年にCAGRが4.3%で推移し、2016年には269億円に達すると予測している。
2012年の空調設備とUPSを合わせた市場は634億円となっている。
国内では、運用効率化のためのデータセンター統合が加速しており、データセンター1拠点あたりの平均的な規模は大きくなる傾向にある。その一方で電気料金の値上がりによる省電力化のニーズも高まっている。IDC Japanの伊藤未明氏(ITサービスグループリサーチマネージャー)が以下のようにコメントしている。
「データセンター向けの空調設備とUPSでは、大規模データセンターに対応した大容量製品との提供とともに、省電力化による運用コスト削減につながるような解決策の提供が求められる」
東日本大震災以降、企業がサーバなどのITインフラをITサービス事業者が運営するデータセンターに預ける傾向が加速しているという。そもそもサーバを所有せずに、ネットワーク経由でITを利用したいと考えている企業も増加しており、クラウドサービス需要を取り込むためにITサービス事業者はデータセンターを増強している。
こうしたことから国内では、大規模なデータセンター新設が相次いでおり、データセンター向け設備の投資規模は拡大しているとしている。