「2014年度のキーワードは『逆襲』。これまで守りに入りすぎていた反省がある。もっと積極的にチャレンジしていかなくてはならない」——。
2013年2月に2014年度がスタートしたのにあわせ、デルは同年度の事業戦略を発表。郡信一郎社長は、その基本姿勢を「逆襲」に置くと宣言した。
デルはここ数年、日本国内におけるシェアを低下させている。
PCを例にとると、MM総研の調べでは2011年に9.3%だった国内シェアは、2012年には8.6%に減少。国内第5位となっている。
また、PCサーバにおいても、同じくMM総研の調べで2011年には12.5%だったシェアが、11.9%へと減少、第4位となった。
こうした点でも、シェア減少から拡大路線への転換がデルにとっての「逆襲」の意味であるのは間違いない。しかし、郡社長が語るこの言葉には、それ以外にもいくつかの意味が込められていると感じられる。
デルの郡信一郎社長は「逆襲」という表現で反転攻勢を強調した
それは今、デルが大きな転換期を迎えていることが背景にある。
転換点を示す要素の一つめは、デルの買収戦略が加速しており、企業体質が大きく転換しはじめた点だ。
デルは2007年以降に買収戦略を加速させており、すでに20社以上の企業を買収してきた。それとともに、ソリューションプロバイダーへの転換を掲げている。
これまでにもITサービスのPerot Systemsをはじめ、ストレージのEquallogicやCompellent、情報セキュリティのSecureWorksやSonicWALL、シンクライアントのWyseなどの大型買収も相次いでいる。
だが、国内におけるソリューションプロバイダーとしての認知度はまだまだこれからだ。
「2013年1月に終了した当社2013年度においては、IP(知財)の融合を加速させることができたと考えている。また、そうした取り組みのなかで、北陸先端科学技術大学院大学には世界最大規模となる論理総容量3ペタバイトのDell Compellentを導入する実績を発表することもできた。日本が世界でナンバーワンとなるソリューションを、今後も次々と日本から発信していきたい」とする。
そして「デルが一方的に“われわれはソリューションプロバイダーだ”というだけでは、認知度はなかなか高まらない。デルは、なにが得意なのか、どんなところでお客様のお役に立てるのか。ひとつひとつの領域で存在感を発揮していくことが大切である」とする。
得意分野を明確にすることで融合の効果をさらに発揮していく考えであり、その体制づくりに前向きに取り組む姿勢をみせる。
2つめは、米デルの非公開化の動きである。