組み込みシステムが得た情報を戦略的に活用
組み込みシステムが得たデータを集め、それを戦略的に活用するのがインテリジェントシステムの狙い。Windowsファミリであることの利点を生かし、通常のサーバ、クラウドなどを使ってデータを処理する仕組みをマイクロソフトは提供する。
「企業が現在注力しているのは、膨大なデータをどのように『使える情報』に変換していくかだ。インテリジェントシステムは、データを1つのプラットフォームに蓄積することで、それを可能にする」とボラディアン氏は強調する。
Windows Embedded 8のデータを外部モニターに出力したデジタルサイネージ
先ほどのPOSの例はリアルタイム情報を表示する仕組みだが、インテリジェントシステムはもっと長期的にデータを蓄積し、利用できる。
アップセル、クロスセルなどさまざまな視点から分析
「小売業界は競争が激しく、競争相手も多い。お客さんの予算をより多くその店舗に振り向けてもらえるよう、アップセル、クロスセルなどさまざまな視点から分析しなければならない。そのためのデータを蓄積するのがインテリジェントシステムだ」(ボラディアン氏)
インテリジェントシステムはマイクロソフトとしても大きな強みを発揮できる。サーバやクラウドなどエンタープライズシステムで培ってきた製品とノウハウを活用できるからである。
過去の組み込みシステムとは考え方が異なる
「過去の組み込みシステムとは全く考え方が変わった。組み込みシステムで得られるデータをインテリジェントシステムとして活用する際に、マイクロソフトとしてはエンタープライズシステムとして色々な製品やサービスを持っているとアピールできる。Windowsという一貫したプラットフォームを持つことの強みが、組み込みシステムにおいても生きるようになった」(エステガシー氏)
しかも、エンタープライズシステムの活用は、エンドユーザーにとってメリットをもたらすだけではなく、パートナー企業にとっても付加価値あるシステムを構築できるという利点を生む。
「これまでの組み込みシステムは、利用者のさまざまな要望を聞くことに追われてきた。しかし、インテリジェントシステムによる提案により、われわれメーカーがユーザーの要望に先んじて提案できるようになった。この技術をどうニーズに生かしていくのか、パートナー企業と話し合いが始まっている」(ボラディアン氏)
組み込みシステムのインテリジェント化はマイクロソフトにとって大きな変化をもたらしている。