誰でもできる情報整理術

情報整理術--第2回 「捨てる」ことの位置付けとは

仁宮 裕(産業能率大学総合研究所) 2013年05月10日 07時30分

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「捨てる」ことの位置付け

 今回は情報整理の中でも特に難題だと思われる「捨てる」というテーマを論じて行きたいと思います。難題と述べたのは、筆者自身なかなか捨てられず、不要な文書・データを抱え込んでいた経験があるからです。

 皆さんも、「何のためにこの文書を取っておいたのかは忘れたけれども、いつか必要になるかもしれない」と思って、二度と見ないと思われるような資料を大量に持ち続けていた経験はありませんか。実際、文書やデータを思い切って捨てるというのはなかなか難しい行為のように思います。

 ここで、第1回で示した「情報整理」の定義を思い出してください。「廃棄に至るまでの」という文言が含まれています。

「情報整理」の定義
「情報整理」の定義を

 どんなにきれいにバインダに閉じて見出しをつけたとしても、文書の絶対量が多過ぎたら「タイムリーに利用ができる」状態からは遠ざかってしまいます。もともと「整理」という言葉には、「不必要なものを取り除く」という意味が含まれていますから、文書やデータの量を減らすことはこの連載の根幹をなすテーマだといえるでしょう。

捨て方・残し方の基準づくり

 どのようにすれば自分(たち)の抱える文書やデータの絶対量が減らせるのか、これには魔法の杖のような近道はありません。

 「捨てる/残すの基準を自分なりに確立し、それに厳格に従って不要なものを処分して行く」という正攻法で行くしかないでしょう。その基準の例を以下に述べていくことにします。

図:「捨てる/残す」を考える基準
図:「捨てる/残す」を考える基準

1.コピーを捨てる

 一時的な必要性からコピーしたものを後生大事に抱えていませんか。例えば、自分が主催者というわけでもない会議の出席者名簿はどうでしょうか。会議が済んでしまえば、個々の出席者の情報は必要なくなるでしょう。また、人名が載っているような資料は個人情報保護の観点からも、確実に処分することが求められます。

2.再入手可能なものを捨てる

 原本がほかに存在しているものを個人持ちしていませんか。例えば、インターネットのウェブサイトから入手した商品カタログなどはどうでしょうか。最近はPDFなどの誰でも閲覧可能な形でカタログ情報が公開されていますが、こうしたものをファイルのまま持ち続けることにどれだけ意味があるでしょうか。ウェブブラウザの「お気に入り」機能でブックマーク登録しておけば、ファイルそのものは不要ではないでしょうか。

3.推敲の途中過程を捨てる

 最終版が確定したのに、途中過程の草稿を持ち続けていませんか。例えば、提案書のドラフト段階の文書などは、完成版を提出してしまえば不要だと判断してしまっても構わない場面が多いでしょう。

 「試行錯誤の過程を後で振り返ってみる必要がある」との意図が明確ならば残すという選択肢もありますが、そうでなければ、ドラフトの類はきっぱりと捨ててしまう潔さも必要です。

4.引継ぎ終わったものを捨てる

 担当を誰かに譲り渡した仕事の資料を持ち続けていませんか。例えば、後輩に担当を譲った顧客の営業訪問記録などはどうでしょう。顧客に関する文書やデータをいつまでも後輩と二重に持ち続けているのは無駄ではないでしょうか。

 「何か困ったことが生じたときに、すぐに助け舟を出せるから」という言い訳も聞こえてきそうですが、そうした考え方は後輩に依存心が生まれる危険性もあることを心しておきましょう。

5.資料価値のないものを捨てる

 単なるデータの塊を無目的のまま持ち続けていませんか。例えば、企画立案のために集めてはみたが、結局のところ企画書には盛り込まなかった統計データなどはどうでしょう。

 いつかまた使えるかもしれないと思って持っていても、いざ実際に使う段になったら新しい統計データが発表されていて、再度集め直すはめになることも考えられます。

 ある種の情報は鮮度に大きな意味があります。あっという間に鮮度が落ちていくような統計データやニュース記事などは、廃棄対象の有力候補です。

6.古いものを捨てる

 ともかく迷ったら、最後は「古いものは一切合財捨てる」という思い切りがあってよいかもしれません。例えば、年度の代わり目や部署異動といった節目に、一定以上の期間を経た資料をすべて「捨てられないだろうか」という目で見つめ直してみるのです。

 いきなり捨ててしまうことに抵抗感があるのならば、「仮に捨てる場所」を作って、そこに置いておくのもよいでしょう。そして、半年なり、一年なり経って後、「やはり一度も必要になることはなかったし、これからもないだろう」という確信が得られたら本当の意味で廃棄するのです。

 以上、「捨てる/残す」の基準の例を述べてきました。もちろん、これら6つの基準がすべてとは言いませんし、実際にはいくつかの基準の組み合わせで廃棄判断することになると思います。ご紹介した基準の例を手掛かりに、読者自身の「自分なりの判断基準」を確立されることを期待します。

まとめ

 「捨てる」ことによって情報の絶対量を減らすことができたら、あとは絞り込まれた文書やデータをいかに分類し、見出しをつけるかが問われます。次回は、「分け方・名付け方」に焦点を当てて、情報整理についての締めくくりとします。

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仁宮 裕
産業能率大学総合研究所 主幹研究員
民間企業にて、ソフトウェア開発/システムインテグレーションに従事。2004年産業能率大学総合研究所入職。企業および自治体に対して各種ビジネススキル研修、マネジメント研修を実施。産能マネジメントスクールにおいて、公開セミナー「文書・データ整理術」他の講 師を担当している。主な著作物:「業務革新 理論と実践」産能大学出版部(共著) 所属学会:経営情報学会

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