ネットアップは6月20日、事業戦略説明会を開催した。同社の代表取締役社長である岩上純一氏は「3年で国内売り上げ2倍、2013年度(2013年5月~2014年4月)も20%以上の成長を目標とする」と宣言。2012年度の分野別売り上げでは、対前年比でクラウドが186%となった。
岩上氏は「ストレージベンダーというとハードウェアのイメージが強いが、ユーザー企業にとって“Trusted Adviser”をイメージしてもらえるような存在をさらに目指していく」とハードウェアベンダーというイメージを払拭していくことを強調した。
仮想化に強いかどうか
ネットアップ日本法人では2012年度(2013年4月期)の国内売り上げが、対前年比24%増となった。全四半期で順調に売り上げを伸ばしていることが特長となっている。「日本法人の戦略が間違っていなかったことを裏付ける結果となった」(岩上氏)
売上伸張の要因となったのは、モビリティ、クラウド、ビッグデータ、ソーシャル技術という「第3のプラットフォーム」分野に注力したことだ。その結果、クラウド分野で対前年比186%と高い伸張になったという。
岩上純一氏
「サーバ仮想化は、大企業需要が一巡し、中堅企業のユーザー企業の需要が活発な時期となっている。ただし、VDI(仮想デスクトップ基盤)に関しては、ファットクライアントからシンクライアントへの移行が、これから旬を迎える。これまで血を流し取り組んできたが、VDIといえばネットアップと言われるまでになった。ERP(統合基幹業務システム)向けでは、アンリツが導入したSAPシステム刷新のためのサーバ仮想化基盤の事例があるが、すでに50件導入するなどERP案件は2倍強と好調となっている。ユーザー企業はSANかNASかという選択ではなく、仮想化に強いか否かという視点でストレージを選択する。そこで選択されていることが好調さの要因」(岩上氏)
ソリューションに対応した組織とするため、営業組織も業種業態ごとの体制へと変更し、製造業であれば製造サイクルの短縮化に対応できるようなソリューションを提供する体制とした。
今後の注力技術としては(1)NetApp Connect、(2)clustered Data ONTAP、(3)NetApp OnCommand統合管理ソフトウェア、(4)フラッシュストレージ――という4つを挙げた。
NetApp Connectは、近日国内でもリリース予定の新製品で、企業のファイルやアプリケーションにiPadやiPhoneから簡単で安全にアクセスできるツールだ。サーバはデータセンター側で稼働し、導入済みのActive DirectoryやLDAPを使用してモバイルユーザーを認証する。企業のデータや文書に直接表示し、高画質表示することが可能だが、データはすべて企業のファイアウォール内に維持されるため、安全にやり取りができる。
clustered Data ONTAPは、ストレージOS「Data ONTAP」のクラスタリングソフトウェアであり、新版となる8.2を7月にリリースする。ノンストップオペレーション、効率性、拡張性などITに制約されないビジネスを実現するものとして提供する。インターフェースによる統合とストレージ管理によるIT統合を実現するとしている。
フラッシュストレージでは、2014年に最新技術を活用した新設計の「FlashRay」シリーズをリリース予定。エンタープライズクラスフラッシュアレイ製品で、ワークロードのニーズに応じてインフラを拡張できる、スケールアウトアーキテクチャを標準装備した製品となる予定だ。
「44Pバイトを上回るフラッシュが、4エクサバイト以上のストレージを高速化している。フラッシュでこれだけの実績を持っているベンダーはほかにない。これはユーザー企業に許可をもらって、フラッシュがどのように使われているのか、現場で把握し、ニーズにあった製品を開発しているからこそできることだ」(岩上氏)
こうした施策により、日本法人が3年で2倍成長の実現を目指していく。