クラウド、モバイル、ソーシャル、ビッグデータで構成する第3のプラットフォームで存在感--オラクル遠藤社長

大河原克行

2013-07-01 15:17

 日本オラクルは、2014年度事業戦略を発表した。その中で日本オラクルの社長を務める遠藤隆雄氏は、米Microsoft米Salesforce.comがそれぞれ、クラウドサービスに関して米Oracleとの提携を発表したこと、米NetSuiteが中小企業向けクラウドサービスにおいてオラクルのプラットフォームを採用していることに言及した。

 「世界を代表するクラウド事業者がOracleのプラットフォームを採用したことで、ユーザーはどこにいてもOracle製品を利用できるなど選択肢が増える。今回の提携によって、Oracleは、競合他社からもクラウドのリーディングカンパニーとして証明されたともいえる。エンドユーザーがプライベートクラウドを構築する際にも、Oracleのプラットフォームを最先端の技術として認識して導入することができる。食い合うのではなく、相乗効果で売り上げ増につなげたい」などとした。

今回の発表について、Microsoft、Salesforce.comの日本法人との連携などについては、具体的なことは決まっていないと述べた。
今回の発表について、Microsoft、Salesforce.comの日本法人との連携などについては、具体的なことは決まっていないと述べた。

2014年度4つの基本方針

 また、2014年度の基本方針として「市場カバー率の強化」「すべての製品で高いシェア」「部門間協業の促進」「顧客満足度の向上」の4つを掲げた。

 遠藤氏は「Engineered SystemやSaaSビジネスがけん引し、日本オラクルは、過去3年間にわたって増収増益を達成している。新たなITの流れを作る企業として、また、テクノロジーのリーディングカンパニーとしての認知度が高まっており、クラウド、モバイル、ソーシャル、ビッグデータで構成される第3のプラットフォームの世界においても存在感を発揮している」と指摘した。

 「ITはツールではなく武器である。企業の成長戦略を実現するためには不可欠なものになっており、日本オラクルは、カスタマーエクスペリエンス(CX)における数々の製品ラインアップ、グローバル経営支援体制、ビッグデータライフサイクルやアナリティクスをサポートする製品群の強みを生かして、企業を支援していく」などとした。

 CXに関しては、IT活用によって多彩な販売チャネルを生かした展開を進めるファンケルや、顧客からの問い合わせに迅速に対応する仕組みによって顧客満足度を高める楽天の導入事例を紹介。ビッグデータではSNSを分析することで、警察官の配置計画を柔軟に変更し、犯罪抑制に効果をあげた米シカゴ市警の事例に触れた。

 遠藤社長は「SNSでの数多くの情報が発信されており、悪い情報が流れたときには、口に戸は立てられないとあきらめている企業もあるだろう。だが、口に戸は立てられる。課題に対して迅速にレスポンスすることで、水際でとどめることができる」などと語り、「今年は成功事例をたくさん出して、企業のイノベーションを支援していきたい」と語った。

 さらに「多くの企業には、良い協業の方法が見つからない、アイデアを共有する良い方法が見つからない、社内の専門家をうまく見つけられないという課題がある。われわれはOracle Social Relationship Managementを提供しており、これによって企業が持つ課題を解決できる」などと説明した。

 一方で、クラウドに関しては「アプリケーションサービス、ソーシャルサービス、プラットフォームサービス、共通インフラサービスを用意しており、コンプリートした形でサービスを提供しているのが特徴である」と話した。

 「Oracleは、過去8年間で92社を買収しているが、過去1年間の買収ではクラウド領域を中心に10社を買収している」とクラウドへの注力を強調した。

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