アイ・ティ・アール(ITR)は8月14日、国内企業に勤務する情報系システム担当者を対象にしたオンラインストレージ調査結果を発表した。有効回答は292人。調査回答のうち、個人向けストレージサービスを「日常的に利用している」割合は64.4%。そうした個人向けサービスを「仕事でも利用している」割合は43.5%となっている。
自社のコンテンツ管理に対して責任ある立場の情報系システムの担当者でさえ、その多くが個人向けサービスを仕事目的で常用している実態が改めて浮き彫りになったと指摘。企業が管理できないIT利用、“シャドーIT”が進展していることがうかがえると表現している。
個人向けストレージサービスの利用状況をサービス別に聞くと、最も利用率が集ったのが「Google Drive」で27.1%。続いて「Evernote」(26.4%)、「SkyDrive」(23.3%)、「Dropbox」(22.3%)の順となった。日常的に利用される割合が高いサービスほど、仕事目的で利用される割合が高い傾向となっている。
利用率で上位を占めたサービスはいずれも、PCだけでなくスマートデバイス環境での使い勝手の良さが高く評価されているという点で共通している。GoogleやMicrosoft、Appleといったスマートデバイス系ベンダーのサービスも上位に位置している。同社のシニア・アナリストの舘野真人氏が以下のようにコメントしている。
「7月に複数の中央省庁でGoogleグループの利用に伴う情報漏洩が問題となったが、無償か安価に個人アカウントで利用できるオンラインストレージサービスの業務利用は常態化しており、民間企業も決して他人事とは言えない。こうしたサービスを利用する背景には、企業や団体をまたいだ情報共有ニーズの高まりと、スマートデバイス活用の進展がある。企業のIT責任者は、こうした個人向けサービスの利用を単に禁止するだけでなく、企業アカウントの取得や社内構築による情報共有基盤の整備など、現実的かつ安全な代替案を提示する必要がある」
個人向けストレージサービスの利用状況(複数回答、提供:ITR)