「日本で中小企業(SMB)のGoogle Apps導入がものすごい勢いで進んでいる」
こう話すのは、グーグルのエンタープライズ部門でSMBセールス 日本統括責任者を務める松橋博人氏だ。
これまで日本でGoogle Apps導入に積極的だったのは大企業だった。大手システムインテグレーター(SIer)などが、先進的な技術力や導入支援のノウハウを生かし、主に大企業を対象にGoogle Apps導入を働きかけていたことなどが背景にあるという。
大手SIerによる大企業への導入事例への信頼度は高く、それを見て、先進的な中小企業がGoogl Apps導入の検討を始めるといった流れがあったと松橋氏は指摘する。
グーグルのエンタープライズ部門でSMBセールス 日本統括責任者を務める松橋博人氏
欧米ではこれが正反対だという。「Gmailを使っていたSMBがボトムアップのイメージでGoogle Appsを導入し始め、大規模顧客に広がる傾向がある」(同氏)。システムインテグレーションの基本的な考え方が日本と欧米で違うことにより、欧米ではDIY(Do It Yourself)のような感覚が根付いている。これが、ボトムアップの方向性を決定づけているようだ。
大企業とSMBを比較したGoogle Appsの売り上げ比率で見ても「従来は日本と欧米では正反対のトレンドだった」とのこと。
トレンド変化の理由
松橋氏は、大企業がリードするという基本的な傾向は変わらないものの、ここに来てSMBの積極的なGoogle Apps導入が目立つと話す。
背景に、クラウドの利便性に多くのSMBが気づき始めていることがあるようだ。インターネットを経由して同じ種類のアプリケーションを利用することで、SMBの多くは外部企業と連携したビジネスを進めやすくなってきた。
実際に、取引サイトとウェブサイトを共同で所有し、スケジュールや情報共有を進めている例などがある。具体的には、提携先設計事務所と情報を共有し、ショールームの予約、ひな形となる設計書フォーマットを管理している。公認会計士や税理士などの社外関係者とのやりとりに活用するケースもある。
クラウドにある同じアプリケーションを利用するため、使い勝手を理解し合える点もクラウドの利点だ。
これに関連して、業務遂行にリアルタイム性が求められている事情もある。
不動産管理業を手がけるある企業では、入居者からの問い合わせや契約の進捗状況、駐車場の位置などあらゆる情報をGoogle Appsで共有している。そのため、以前なら外出先でこうした情報が必要になった場合、営業担当者は自社に問い合わせの電話をかけなくてはいけなかった。現在はスマートフォンやタブレット端末を使って詳細な情報でも自分で参照できるようになり、業務にかける時間を短くできるようになったという。