IDC Japan は10月2日、銀行、保険、証券などの国内におけるIT支出を含む国内金融IT市場の2013年の市場予測を発表した。国内金融IT市場の規模は1兆6919億円で、前年比成長率は1.1%と微増だったが、大手金融機関と中小との間で成長に顕著な格差が見られたという。
2013年の同市場は、自公連立政権による「アベノミクス」などにより、回復の兆しが見えており、多くの業態でIT支出の拡大を見込む。特にメガバンク(2013年の前年比成長率3.3%増)、損害保険(同2.2%増)では勘定系/業務系システム刷新、統合の大型案件が継続しているため、高い成長率が予測されるという。
一方、地域経済の回復は遅れており、地方銀行(同2.2%増)、第二地方銀行(同0.4%減)、信用金庫(同0.0%)、信用組合(同1.0%減)と地域金融機関では低成長率になると予測する。
また、2014年もメガバンク(2014年の前年比成長率3.5%増)、信託銀行(同1.8%増)、証券取引所その他(同1.8%増)で比較的高い成長率を見込むものの、その他の業態では低成長率にとどまるとしている。
主要システム別でみると、各業態で「勘定系/業務系システム」がIT支出全体に占める割合が最も大きいという。ただし、2012~2017年の年平均成長率(CAGR)で比較した場合、勘定系/業務システム刷新が行われる一部の業態を除き「顧客管理系システム」「チャネル系システム」のCAGRが高くなっており、多くの金融機関で中長期的に「顧客管理系システム」「チャネル系システム」のIT支出が堅調に拡大することがうかがえるという。
IDCは、多くの金融機関で中長期的に顧客管理系システムまたはチャネル系システムのIT支出が堅調に拡大すると予測しているという。多くの金融機関は国内での成長要因が不足しており、収益拡大が重要な経営課題となっているため、解決策として、ITを積極的に活用する金融機関が増加していることが背景にあるとしている。
だが、ITの活用方法を理解していない金融機関も多いため、「ITベンダーにはシステム導入にとどまらず、ITの活用に関する上流工程のコンサルティング、運用支援も含めた包括的なソリューションの提供が求められる」とIDCはコメントしている。