米政府による監視活動の見直しを検討する特別委員会は米国時間12月18日、米国家安全保障局(NSA)が米国人の通話記録の一括収集を中止するとともに、外国首脳を対象にいかなる諜報活動を実施するにあたり、より厳格な審査を受けるよう勧告する報告書を発表した。
この2つの勧告は、5名の委員で構成された「機密情報と通信技術に関する審査グループ」(Review Group on Intelligence and Communications Technologies)による300ページ超の報告書(PDF)に詳細が記された46項目の重要部分のうちの2項目に過ぎない。
報告書は、通話記録は電話会社またはサードパーティーが保管し、NSAはこうした通話記録の照会やデータマイニングのために裁判所命令を受けるよう勧告している。これまでの報道では、これによって、問題となっているNSAによるデータの一括収集が事実上廃止されるであろうことを示唆しており、その理由として、NSAが電話会社から情報を取得するためにより高度な立証基準を満たさなければならないことを挙げている。これに対してNSA関係者は、複数の独立したデータベースの検索が必要になるため、諜報活動のスピードと有効性に妨げとなるとしていた。
また、同委員会はBarack Obama大統領に対し、外国の首脳や米国以外の国々を対象とした監視を含む「あらゆる機密諜報活動要請に対して高レベルの承認を求める」ための新たな手続きを設けるよう勧告している。報告書は、国民的指導者を対象とする諜報活動について、明らかになった際には反感を買うなどのリスクとともに、米国と外国指導者との個人的な関係や国家間の関係を慎重に検討する必要があると指摘している。
同委員会は、米政府が暗号化ソフトウェアに対して意図的に「バックドア」を導入していたとする報告を裏付ける証拠は見つからなかったとしているが、同政府に対して、NSAが世界的な暗号化規格の存在を危うくしないということや、自局によるユーザーデータの収集を容易にするために製品やサービスの変更を要求しないということを明確にするよう提言した。
さらに委員会は、NSAの情報保証局(IAD。米国家システムの保護を目的としたコンピュータセキュリティ強化を担当している部門)について、米国防総省直属の独立組織とすることも提言した。これは、NSAが「通信デバイス、ソフトウェアシステム、あるいはネットワークにアクセスするための何らかの手段を見つけた場合や、NSAが自身のアクセスを遮断する修正プログラムをなかなか用意しようとしない場合」に生じる可能性のある利害対立をなくすことが狙いだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したもので す。