この苦痛を和らげる手段として、生体認証が考えられる。Appleが「iPhone 5」で採用した指紋リーダー「Touch ID」には、新しい機能が追加されるかもしれない。あるいは、開発コミュニティができる可能性もある。また、同社は生体認証により多くの労力と資金を投入している。FIDO(Fast Identity Online)アライアンスは、ベンダーが生体認証やその他の認証オプションを導入するのを容易にするための、一連の技術的な仕様を開発している。
認証とユーザーID管理の役割を負うオンラインIDサービスは、今後人気を得るはずだ。エンドユーザーは、将来主流になるサービスを選ぶために、キーワードを知っておく必要があるし、IT部門は既存のインフラと規制に基づく社内のセキュリティ境界を活用したハイブリッドIDインフラを構築するため、注意を払っていく必要がある。
最近では、OAuth 2.0とOpenID Connectが重要なキーワードとなりつつあり、この組み合わせは、モバイルとラップトップの両方の分野で、権限付与と認証に使われるようになるだろう。
2013年始め、ソーシャルメディアへの投稿をスケジュールするのに用いられるオンラインサービスである「Buffer」が、データベースをハッキングされた際には、ハッカーが盗んだFacebookおよびTwitterへのアクセスに使用されるOAuthトークンと、Bufferユーザーの代理として投稿したメッセージを取り消すことで、被害を食い止めた。
この攻撃を防ぐためにBufferがしなくてはならなかったのは、トークンを取り消すことだけだった。そして、すべてのエンドユーザーに必要だったのは、FacebookとTwitterで新しいトークンを作成するために、認証をもう一度行うことだけだった。これは、サービスプロバイダがユーザーの代理としてログインする事例の1つに過ぎないが、認証においてパスワードを分離する、新たなやりかたの強力さを示している。
OpenID Connectも、そのような新たな選択肢の1つだ。サービスプロバイダは、ユーザー認証、シングルサインオン、フェデレーション(Googleの認証情報を使用してYahooにログインする取り組みに似ている)に関して、この標準の導入に向けた取り組みを進めるだろう。
OpenID ConnectはOAuth 2.0のフレームワークに基づいているが、ユーザー登録を簡単にし、IT部門やサービスプロバイダの管理を容易にするプロビジョニングなどの機能を追加するための、ほかの標準も取り込まれている。
このインフラの成熟化はエンドユーザーから大きな注目を集めることはないだろうが、その副産物として、認証メカニズムは強化され、2013年に見られたようなパスワードに起因する問題を和らげていくはずだ。
もちろん、これはまだ実現したわけではない。そしてそれには、エンドユーザーの態度の変化が必要であり、残念ながら、これはどんなソフトウェアやサービス、標準にも組み込むことができない要素だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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