ERP保守を半額に--独立系の米Rimini Streetが日本参入

山田竜司 (編集部)

2014-03-10 16:20

 米Rimini Streetがは3月6日、日本に拠点を開設すると発表した。統合基幹業務システム(ERP)の保守業務を大手ソフトウェア企業の半額程度の料金で請け負うことで知られる。

 Rimini Streetの保守サービスは、SAPのERP「Business Suite」や「BusinessObjects」、OracleのERP「E-Business Suite 」「Siebel」「PeopleSoft」「JD Edwards」「Hyperion」「Oracle Retail」「Oracle Database」などに対応する。

 OracleやSAPの保守サービス利用には通常、ソフトウェア購入代金の22%などを目安とした保守費用を毎年支払う。また、機能拡張(アドオン)は別料金であるケースが多い。


CEO SethRavin氏

 Rimini Streetの保守サービスの場合、正規ベンダーの半額(ERPソフト購入金額の11%程度)で、顧客は、使用中のバージョンを、10年間はアップグレードすることなく利用できるという。10年以上のサポートも顧客と相談の上、検討するとした。日本の税制改正や法改正に対応した修正プログラムなどアドオンにも追加料金はかからないと説明する。

 サービスは24時間365日利用可能であり、30分以内の対応を約束しているが、実際は平均3分半程度で対応を開始するという。

 Rimini Streetの最高経営責任者(CEO)のSeth Ravin氏は「ERPソフトは安定化、成熟化しており問題は少ない。現在の保守サービスは料金と得られる価値が見合わない。正規ベンダーによるERPの保守サービスの利益率は92~94%に上る一方で、59%の利用者が正規ベンダーの保守サービスに不満を感じている」と話した。

 Ravin氏は、「ソフトウェアの権利は顧客が持っているため、保守サービスをわれわれが運営することに問題はない。今までに修正できなかったバグもない。企業のIT予算はソフトウエア運用保守に80%のコストがかかっている。顧客のERP保守費を削減し、イノベーション分野に投資できるように手助けしたい」と語った。

 Rimini Streetの日本法人、日本リミニストリートは、日本企業に向けたサポートを強化するため2013年7月に設立した。すでに海外展開しているPioneer USAやSEGA of Americaの7社の顧客を持ち、年間数億円規模のコスト削減を支援してきたという。


日本リミニストリート代表取締役社長 太田一矢氏

 日本リミニストリート代表取締役社長の太田一矢氏は「日本企業は長い間、ERP製品提供ベンダーの保守サービスしか選択肢がなかった。日本のERP保守の民主化を果たしたい」とコメント。欧米ではすでに10年以上この分野に競争原理が持ち込まれていると説明した。

 日本では直販、チャネル 間接などの販売形態に対応し、日立ソリューションや富士通と連携するという。

 Ravin氏は「2005年の創業以来、私たちは保守サービスにおける顧客の選択肢が制限され、大手ERP企業の独占状態を打破してきた。われわれは高い品質基準を満たすためにISO 27001およびISO 9001の認証を取得している」と話した。

 Rimini StreetはNASDAQに上場予定であり、200人から400人に倍増する計画があり、2013年度の10~12月度の純売上高は前年同期比48.5%増の1730万ドルであることなどに触れ、業績の好調ぶりを強調していた。

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