「Mac」と「iOS」の開発者が「Swift」を綿密に検証している。Swiftは6月にサンフランシスコで開催されたWWDCでAppleが発表した新しいプログラミング言語だ。真っ先に提起された質問には、次のようなものがある。Swiftは良いものなのか、それとも悪いものなのか。現在と将来のプロジェクトにはSwiftを使うべきなのか。プログラマーは過去に遡って、「Objective-C」で記述したプログラムをコーディングし直すべきなのか。
MicrosoftのMS「Office for Mac」および「Office for iPad」チームのDavid Owens氏はかつて、Mediumへの投稿の中で、Swiftの発表はObjective-Cプログラマーにとって不運だと述べている。
Swiftの発表を受けて、私はiOSと「OS X」の開発の未来をとても悲観している。私の見る限り、Swiftによって大きな変化が起きるとは、現時点では考えられない。Swiftの基本的な事柄の多くは好ましいと思えず、これらのせいで、Objective-Cの本質的な精神、つまり実用主義が破壊されてしまうのではないかと危惧している。
しかし、先頃の投稿の中で、Owens氏は考えを改めたことを明かした。同氏はブログ投稿の中で、Objective-Cで享受していた「表現力の高さ」を実現しながら軽量の「JSON」(JavaScript Object Notation)ライブラリを作成し、「なおかつSwiftのセマンティクスに準拠する」ことができたと述べている。同氏はSwiftの「Convertible」機能に前向きになっていた。
少しの作業(と長い時間をかけて「Xcode」とSwiftの現行のバグを取り除く取り組み)を行えば、Swiftはタイプセーフと表現力の間の一線を乗り越えることができる。こうしたすべての素晴らしいことについて適切なドキュメンテーションが完成すれば、静的型付けに対して私が抱く懸念の大半は完全に払拭されるだろう。
私は今日、Swiftに関して、これまでよりずっと楽観的な気分になっている。
プログラマーはSwiftに移行すべきなのか、そして、既存のコードをSwiftに移行させることは理にかなっているのか、という質問に対して、Oliver Drobnik氏はCocoaneticsブログで回答を提示した。もちろん、最初の質問に対する同氏の答えを要約すると、「それは時と場合による」ということになる。多くの場合、それはそのアプリがリリースされる時期によって決まる。しかし、過去に遡っての移行については、今は待った方が賢明だとDrobnik氏は述べた。
われわれは、複数のクローズドソースプロジェクトとオープンソースプロジェクトでObjective-Cを使用している。すべてを新しい言語で記述し直しても、得られるものは何もない。Appleは開発者が複数の言語を組み合わせることを認めている。既存のプロジェクトに新しいクラスを追加する場合、Swift の魅力に誘惑されて実装に使うこともあるかもしれない。あるいは、新しいアプリに最初からSwiftで取り組んで、この言語を学習し、Appleにフィードバックを提供することもできる。ただ、Swiftが即座にすべてのObjective-C開発に取って代わるとは思わない。