まもなく行われるであろうAppleの「iPhone 6」の発表と、次の新型「iPad」の発表では、さまざまなスクリーンサイズ(現行より大型のサイズ)が登場する可能性が高い。一見すると、さまざまな製品カテゴリにあらゆるサイズのデバイスを投入するサムスンのアプローチを模倣しているだけのように思える。
しかし、そうした見方は少し浅はかだ。米国時間9月9日に開催されるAppleのiPhone 6イベントで、大規模なアップグレードサイクルが発生する可能性が高い。なぜなら、同社は主にデバイスのサイズが理由で「Android」に乗り換えた人々にリーチすると予想されているからだ。率直に言って、「iPhone 5s」は多くのユーザーにとって小さすぎる。サムスンのファブレットのアプローチには、メリットと強固な顧客ベースがある。
iPadについては、Appleは12.9インチのiPadを計画していると報じられている。このサイズのタブレットはテクノロジ業界関係者からは嘲笑されるかもしれないが、法人分野では、この大型iPadにキーボードを接続すれば、すぐに「Surface」や2in1ノートPCを脅かす存在になる可能性がある。
Appleのスクリーンサイズに関する報道の裏側には、革新(同社はアイデアが尽きている)、あるいは追随(サムスンは既にあらゆるサイズのデバイスを提供している)ということが中心にあるのかもしれない。しかし、いずれもより大きな全体像を見落としている。エンタープライズ分野では、大型のタブレットがノートPC購入サイクルの一部を奪う可能性がある。このことを考慮すれば、12.9インチのiPadはばかげたものには思えないだろう。企業幹部が空港で持ち運ぶバッグの中身をまとめたいと考えるようになれば、大型スマートフォンも奇妙なものには思えなくなるだろう。2in1デバイスが意味をなすのは法人の分野なのだ。
Appleの豊富なスクリーンサイズの真の狙いは、絶頂期の「BlackBerry」となること、つまりエンタープライズ分野で圧倒的な力を持つことである可能性が高い。AppleがIBMと提携したことは、最高経営責任者(CEO)のTim Cook氏が率いる同社が、以前よりもはるかにエンタープライズ分野に適合していることを明白に示すデータポイントの1つだ。さらに、エンタープライズ分野では大きな利益が発生すること、台数が動くこと、そして、消費者市場よりロングテールであることもCook氏は理解している。「Appleから買ったためにクビになった人はいない」と最高情報責任者(CIO)たちが言い始めたらどうなるだろうか。Appleは、たとえ「iTV」や「iWatch」がヒット商品になる段階に達していないとしても、大数の法則に反して成長を続けることになるはずだ。