IPA(独立行政法人情報処理推進機構)とJPCERT/CC(一般社団法人 JPCERTコーディネーションセンター)は9月17日、パスワードリスト攻撃による不正ログインの被害が後を絶たないことから、インターネットサービス利用者に向けて複数のサービスにおいて同じパスワードを使い回さないよう注意を喚起した。
パスワードリスト攻撃とは、攻撃者が何らかの方法で事前に入手したIDとパスワードのリストを使用し、自動的に入力するプログラムなどを用いて、ログイン機能を持つインターネットサービスにログインを試みる攻撃手法。もし利用者がIDとパスワードを使い回していると、第三者によるなりすましログインを可能にしてしまう。
パスワードリスト攻撃の概要(IPA提供)
しかし、少なからぬユーザーがパスワードの使い回しをしているのが実態だ。IPAが8月に発表した報告書では、金銭に関連したサービスサイト(インターネットバンキングやネットショッピングなど)と同一のパスワードを使い回している人の割合は約4分の1。
そのパスワードを使い回している理由としては「(パスワードを同一にしないと)パスワードを忘れてしまうから」が64.1%で最多となっている。
パスワードの使い回しの状況(IPA提供)
同一のパスワードを使う理由(IPA提供)
こうした背景を考慮し、今回の注意喚起では、「複数のパスワードを忘れずに管理できる方法」と「不正ログインに気付く、または防止する機能の活用」について紹介している。
まず、「複数のパスワードを忘れずに管理できる方法」の具体的な例として挙げられているのは、以下の通り。
・紙のメモ
IDとパスワードを記載したリストを紙のメモに保持しておけば、ネットワーク経由で窃取される危険はない。ただし紙そのものの紛失・盗難の恐れがあるため、IDとパスワードを別々の紙に分けて管理したり、第三者が見てもわからないように記載する必要がある。
・電子ファイル(パスワード付き)
表計算ソフトやテキスト編集ソフトで管理し、パスワードつきの電子ファイルとして保持する。パスワードは、ファイルを編集するソフトの機能を使うか、zipなどの圧縮ファイルでパスワードを設定する。
・パスワード管理ツール
パスワード管理のための信頼のおける専用ツール(ソフトウエア)を使用し、IDとパスワードを保存しておく。このツールを起動するためのマスターパスワードさえ覚えておけば、登録した各サービスのIDとパスワードを呼び出すことができる。
一方、インターネットサービスの一部では、不正ログインが行われたことを迅速に認識する、または不正ログインを防止するための、「ログイン通知」「ログイン履歴」「認証コード」「ワンタイムパスワード(OTP)」といった対策が用意されており、その活用も促している。