アジャイルというものを、単にソフトウェア開発のことだけに限定するべきではない。アジャイルは、組織が生み出すあらゆるものについて適用されるべきだ。人事、財務、生産部門はそれぞれ、融通が利かないサイロの状態にあり、プロセスは硬化してしまっている。今こそ、ソフトウェアの担当者はアジャイルの信条を企業の他の部門に広めるべき時だ。
これはJeff Gothelf氏の言葉だ。同氏は、アジャイルは人事、財務など、社内のあらゆる部門に取り入れられる必要があると語っている。同氏は最近Harvard Business Reviewに掲載された記事で、アジャイルの目標は成果を連続的に出すこと、そして、アジャイルがソフトウェアのみに適用されるべき理由はないと述べている。
「Lean UX-リーン思考によるユーザエクスペリエンス・デザイン」の著者であるGothelf氏は、階層的で硬化した考え方によって長きにわたり縛り付けられてきた、組織内で頑なな状態になっているものの例をいくつか取り上げている。第一には、人事、財務、生産部門である。
アジャイルは、官僚主義を打ち砕く究極の方法だ。そのことは既にソフトウェアの分野で実証されている。必要なのは、「アジャイル宣言」で概説されている価値観や原則を取り入れて、その中の「ソフトウェア」という言葉を「製品」に置き換えるだけだ。そうすれば、アジャイルが、ビジネス全体に恩恵をもたらす哲学であり、慣習であることがはっきりと分かる。以下のような価値観について考えてみよう。
- プロセスやツールより個人と対話を重視
- 包括的なドキュメントより動く(製品)を重視
- 契約交渉より顧客との協調を重視
- 計画に従うことより変化への対応を重視
これは、ITマネージャーとITプロフェッショナルが自らの組織に対して、今日のビジネスのニーズを満たすように社風を改善することを教えられる分野の1つだ。例えば、多くの新規応募者の中から雇用する人材を選ぶとき、人事部の採用担当者は「すべての条件を満たしているかどうかを1つずつチェック」するだろう。その代わりに、「人事チームは創造性や協調性、好奇心を見て、人材を採用するように方針を改める必要がある」。それには、新しい雇用慣習と全体的なプロセスの再考が必要だ。決定を組織のほかの部署に「ウォーターフォール」(トップダウンで分割)してはいけない。企業顧客と協力して、彼らが前進するために必要なのはどのような才能なのかを見極めよう。
ソフトウェア開発者が他部署の同僚に対して教えられることはたくさんある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。