「人間の心は、ベリーやナッツで動く胃に接続された、極めてエネルギー消費の少ない小型のポータブルコンピュータだ」(Brad Becker氏)
IBMの「Watson」担当最高デザイン責任者であるBecker氏は先頃、Knowledge@Whartonによるインタビューでそう述べた。しかし、同氏によれば、認知思考とコンピュータによる処理との類似点はそこで終わってしまうことが多いという。「人間味のある」コンピューティングを本当に実現するためには、やるべきことがまだまだたくさんある。そうしたコンピューティングでは、システムは人間の脳の自然な延長として機能する。人間が使いこなす必要がある個別のシステムとは対照的だ。
これには、より優れた「デザイン思考」をテクノロジと関連インターフェースに注入することが必要となる。Becker氏は組織内でデザイン思考を促進するための3つのアドバイスを提示した。
1)一歩下がって観察しよう。「建物の外に出て、自社製品を使う人々を観察しよう」とBecker氏は助言する。「そうすれば、問題点が分かるだろう。ブレインストーミングをして、実際に試行し、早めに失敗しておく。深く関わり、集中的に取り組み、これらの問題の最も重要な解決策は何なのかを考え出そう。しかし、最初にすべきことは、自社のユーザーを理解し、そしてもちろん、自社のテクノロジに何ができるかを理解することだ」
2)デザイン思考が身についているプロフェッショナルやコンサルタントを雇おう。「私なら、デザイン思考に関する経験のある人、デザイン思考に情熱を持つ人、デザイン思考を促す文化を醸成する方法を見つけられる人を雇うだろう」
3) デザイン思考の文化を奨励しよう。当然ながら、企業文化を変えることは容易ではない。しかし、デザイン思考の促進と啓発に関して上層部の意思決定者の協力を得られれば、文化を変えるきっかけになるだろう。Becker氏は、「究極的には、自らの文化によって促進しなければならない」と語る。同氏はAppleを例に挙げて次のように述べた。「同社は必ずしもどの企業よりも多くのデザイナーを抱えているわけではないが、Steve Jobs氏以下、社員全員がデザインの価値を理解していた。また、製品やサービスがユーザーの期待どおりに機能することや、自分がしている作業の理由を常に意識することの重要性も認識している。それと同じ文化がIBMでも育ってきた。『結局のところ、われわれが目指しているのは、誰かのために問題を解決すること、あるいは誰かのために何らかの価値を提供することだ。それが何なのかを理解し、はっきりと言葉で表現できなければならない』という文化を根付かせる必要がある」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。