技術系の仕事を探しているのであれば、シリコンバレーよりもテキサス州の方が職を得られる可能性が高いはずだ。
これは金融情報ウェブサイトWalletHubが米国の主要100都市を対象に、STEM分野、すなわちScience(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)という4つの分野について、職を得やすい地域と得にくい地域にランク付けした結果から言えることだ。WalletHubによると、これらの分野の訓練を受けた人材に対する需要は高く、2008年〜2018年の間には非STEM分野における需要よりも1.7倍速いスピードで成長すると予想されるという。
米国の職場において最も実入りの良い仕事のなかにはSTEM分野の仕事が複数あり、非STEM分野の仕事よりも高い賃金が支払われている。米労働統計局の2014年4月の報告書によると、2013年におけるSTEM分野のすべての仕事に対する年間賃金は平均で7万9640ドルであり、全国平均よりも約71%高かったという。
WalletHubはSTEM分野の卒業生1人当たりの求人数や、STEM分野における賃金の中央値の年間成長率、2018年に必要になると予測されるSTEM分野の仕事の数といった11の主要指標を分析し、STEM分野の仕事を得るのに最も適しているのはテキサス州のヒューストンとオースティンの都市圏だと結論付けた。これらの都市はエネルギー業界とソフトウェア業界でよく知られている。
シリコンバレーやシアトル、ボストンは、ノースカロライナ州ローリー、コロラド州デンバー、ネブラスカ州オマハの後塵を拝して上位5都市にも入らなかった。一般的にテクノロジの中心地だと考えられている都市については、シアトルの6位が最高であり、ボストンは大きく水をあけられて35位、サンフランシスコは38位とかろうじて40位以内につけた一方、その近くにあるカリフォルニア州サンノゼは49位だった。シリコンバレーはSTEM分野の仕事を得るのに最も適しているわけではないが、シリコンバレーの中心地であるサンノゼではSTEM分野の仕事に就いている人の割合が米国で最も高い。STEM分野の仕事に就いている人の割合が高い都市としては他に、ワシントンD.C.、シアトルがある。
シリコンバレーについて言えば、このデータは他の経済データと食い違っているように見える。非営利団体Joint Venture Silicon Valleyによって実施された米国勢調査局のデータの分析によると、シリコンバレーにおける世帯収入の中央値は2013年には9万5000ドル近くにまで上昇し、前年比1.3%増であった。同団体によると、このデータはさらに、シリコンバレーでは15万ドル以上の年収がある世帯が2013年に急増したことを示しており、その割合は米国全体と比べると3倍近いという。
しかし、富裕層の急増は、サンフランシスコ・ベイエリアの住宅市場に波及効果ももたらした。古くからの住民は、高給取りのIT企業職員のせいで家賃や住宅価格が上昇したと批判している。この怒りは、ベイエリアに住む職員を運ぶシリコンバレーの通勤バスを妨害する抗議運動にまで、たびたび発展している。
生活費の上昇は、サンフランシスコにおけるSTEM従業者の平均年間賃金(生活費調整済み)が特に低いことの一因となっている。サンフランシスコは、昔から物価が高かったニューヨークとホノルルをわずかに上回る程度だ。この調整済み賃金が最も高いのはヒューストンで、オハイオ州コロンバス、メンフィスが続く。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。