Microsoftが先ごろレドモンドで開催した「Windows 10」デモイベントでの最も重要な発表は、Windows 10でも「Cortana」でもなく、ホログラムでもない。「Windows as a Service」の4語だった。
Windows as a Serviceの兆候はかなり前からあった。そのコンセプトは、定期的にメジャーリリースが提供される巨大な製品から、アップデートと微調整がバックグラウンドで継続的に施される製品へとWindowsを変えていくというものだ。
「Office 365」や、Googleの「Google Chrome」「Gmail」のような製品だと考えればいい。
Windows 10はこの変化への道を開くプラットフォームとなるはずだが、それは始まりにすぎない。Windowsが大規模なリリースからサービスに変わることで、業界全体で大きな変化が起きるだろう。例によって、これにはプラス面とマイナス面の両方がある。
プラス面
1. MicrosoftはWindowsのバージョンよりデバイスの寿命を重視
「Windows 7」「Windows 8.1」「Windows Phone 8.1」の全ユーザーにWindows 10への無料アップグレードを(リリース後の最初の1年間)提供するというMicrosoftの発表は、ほんの始まりにすぎなかった。MicrosoftのOS担当エグゼクティブバイスプレジデントであるTerry Myerson氏は、さらに次のように説明した。
「これは1回限りで終わるようなアップグレードではない。WindowsデバイスがひとたびWindows 10にアップグレードされれば、デバイスのサポート期間が終了するまで、無料で最新の状態に維持される。Windows 10によって体験が進化し、時間が経つにつれてさらに向上していく。新機能は準備が整い次第提供される。次のメジャーリリースまで待つことはない。われわれはWindowsをサービスと考えている。むしろ、今後数年は、世界最大のインターネットサービスの1つと考えてもいいかもしれない」(Myerson氏)
これは、ハードウェア分野に対するMicrosoftの見方が大きく変わったことを示している。
つまり、対応するハードウェアを使っていれば、ユーザーは常に最新のOSを利用できるということであり、それによって、古いバージョンのWindowsが使われ続けるという事態を防止できるはずだ。このモデルは、「iOS」や「OS X」、そして(あるべき姿の)「Android」の仕組みと同様のものであり、現在の消費者が求めるようになったものでもある。
2. Windows大統一
MicrosoftはWindows 10で、PCとモバイルを隔てる柵をついに取り払おうとしている。これからは「Windows XP Professional」もなければ、「Windows Vista」もWindows 8.1も、「Windows Phone」もない。ただのWindowsだ。
3. ユーザーは無料のものを好む
ユーザーは無料のものを好む。Windows 10を無料で入手できるというチャンスが話題を呼び、好意的に受け入れられることは間違いない。さらに、全ユーザーに無料アップグレードが提供されると発表されたため、消費者が次のリリースまで買い控えをしてPC販売が落ち込むこともなくなるだろう。
マイナス面
1. 将来的には料金が発生するのか
Windows 10は、Windows 7、Windows 8.1、Windows Phone 8.1のユーザーに1年間無料で提供される予定だが、長期的なモデルについては疑問が残る。デバイスごとに料金を支払うモデルになるのか、1年契約になるのか。それとも、ユーザーのニーズに応じて複数の料金体系を組み合わせた形になるのだろうか。
現在のところ、Microsoftは料金についてのコメントを控えている。