2. Windowsは終わりのない変動期に突入するのか
Windows as a Serviceに関して筆者がもう1つ懸念しているのは、Windowsプラットフォームが常に流動的な状態になるということだ。かつてWindowsライセンスを購入するということは、あらかじめロードマップが示された製品ライフサイクルを受け入れるということだった。
Windows as a Serviceによって、新機能を必要に応じて追加できるようになる。一部のユーザーには間違いなく歓迎されるだろうが、エンタープライズユーザーにとっては悪夢になる可能性もある。ユーザー側で重要なシステムアップデートと重要度の低いアップデートを分けてインストールできる手段をMicrosoftが提供してくれることに期待するしかない。いずれ分かるだろう。
3. OEMに悪影響が及ぶ
Windows as a Serviceは、大規模なアップグレードサイクルがなくなることを意味する。それはつまり、ハードウェアOEMがアップグレードサイクルに伴う「収穫期」を享受できなくなるということだ。PC販売は既に低迷しており、新しいWindowsがリリースされたところで、販売はそれほど伸びないと思われる。OEMが壊滅的な打撃を受けることはないはずだが、特に小規模OEMは、困難に直面することになるかもしれない。
4. アップグレードが苦難に満ちた作業になる可能性も
Microsoftが期待しているのは、Windows 10アップグレードを無料で提供することで、ユーザーが同OSのリリースまで新しいPCの購入を延期するのを防ぐことだ。しかし、慎重なユーザーは、OSのアップデートが(特にOEM製システムを扱う場合)非常に厄介な作業になり得ることを理解している。
無料でアップグレードが提供されるからといって、将来、ドライバ問題やソフトウェアの非互換性から解放されるわけではない。
5. 無料製品はやはり無料
Windows 10がどれだけ優れた製品だとしても、無料で提供されるということは、この数十年における状況の変化の大きさを示している。新しいPCや高額なアップグレードが売れる時代は終わった。お金を出したくなる魅力的な製品が市場にあふれる今、新しいOSに喜んで100ドルを払う人はもういない。
不明な点
1. Microsoftの利益
Windowsの開発とリリースの方法が変わることで、売上高にどのような影響があるのかは分からない。しかし、Microsoftはこれまで、Windowsの新バージョンが発売される時期に売り上げを伸ばしてきた。
デバイス購入時に支払う1回限りの料金でWindows as a Serviceを利用できるようになるのだとしたら、売上高は販売台数に左右されることになる。しかし、すべてのユーザーがWindowsを一定期間「レンタル」するペイ・トゥ・プレイ・シナリオが採用されるとしたら、売上高を分散し、変動幅を抑えることができるかもしれない。
2. 不確かな未来
現時点では、Windows 10への無料アップグレードというアイデアは、十分に魅力的なものに思える。しかし、その先のことは不確かだ。エンタープライズユーザーは、コスト増大につながるライセンシング関連の変更には特に敏感になるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。