Microsoftによる「Windows Server 2003」のサポート終了まで5カ月を切った現在、一部のユーザーは、同製品のアップデートを継続して受け取れるカスタム契約に関心を向けつつある。
Microsoftはしばらく前からユーザーに予告してきた通り、2015年7月14日以降、Windows Server 2003のいかなる種類のフィックスやアップデートも提供しなくなる。同社はこのOSを今でも使用しているユーザーに対して、「Windows Server 2012 R2」か「Azure」に移行するよう、引き続き勧告している。
カスタムサポート契約自体は新しいものではない。「Premier」サポートを契約している顧客にMicrosoftが有償で提供するこの契約によって、ユーザーは、サポートが終了したMicrosoftのOSに対して一定期間、そのOSのセキュリティアップデートを引き続き受け取ることができる。
通常、この種のカスタム契約の費用は非常に高い。しかし「Windows XP」のケースでは、Microsoftは、2014年4月8日に同OSのサポートを終了して間もなく、カスタム契約を大幅に値下げしたと考えられている。
こういったケースで「サポートの終了」が何を意味するのか、簡単におさらいしよう。顧客はサポートが終了した製品を使い続けることはできるが、セキュリティアップデートを含めて、いかなるアップデートもMicrosoftから無料で受け取ることはできなくなる。有料のカスタム契約を利用しており、サポートが終了したソフトウェアの段階的廃止予定に従うことを同意した顧客のみが、「緊急」および「重要」と指定されたアップデートの配布対象となる。
米国時間2月16日付のThe Resisterの記事によれば、一部のWindows Server 2003ユーザーは、MicrosoftからWindows Server 2003のパッチを受け取り続けるために、サーバ1台あたり600ドルを支払うことになる可能性があるという。Microsoftはこの金額を確認していない。筆者が問い合わせたところ、Microsoftの広報担当者から次のような回答があった。
「カスタムサポートの価格は、サポートの継続を必要とするサーバインスタンスの数など、具体的な顧客のニーズに応じて変わる可能性がある。われわれは顧客に対して、自分の環境にあった価格を決めるために、Microsoftアカウント担当者と相談することを勧めている」
現時点では、カスタム契約の値下げという点では、MicrosoftがXPの時に行ったと思われることを今回もするという保証はない。
コンサルティング企業Pica CommunicationsのプリンシパルコンサルタントであるPaul DeGroot氏は、顧客は「瀬戸際戦術」を取ることで恩恵を得られるかもしれないとしている。
Microsoftが過去5年間に提供したWindows Server 2003の重要なパッチの数をDeGroot氏が分析した結果、上位7件までが全て「一部のASP.NETページのレンダリング」に関係するものだったことが分かった。また、最近の重要なパッチの数多くは、Itaniumサーバ専用のコンフィグレーションなど、特定のコンフィグレーションのみに関連するものだったことも分かった。
「カスタムサポート契約は過去にさかのぼっての契約が可能だ。1年待ってみて、本当に無視できない、重要なアップデートが最終的にあれば、サポート終了時点にさかのぼって料金を支払う。別の言い方をすれば、現時点でMicrosoftと契約していなくても、後で契約する時に余分に費用がかかることはなく、それでも重要なアップデートは受け取れる」(DeGroot氏)
カスタム契約についていちかばちかの賭けをするというのは、リスクを伴う方法に思える。パッチ未適用のソフトウェアを稼働させることによる、明らかなセキュリティ問題に加えて、顧客はコンプライアンス違反に抵触する可能性もある。しかし、サポートが終了する2015年7月14日の時点で、多くの顧客がまだWindows Server 2003の使用を中止する準備ができていないことが予想されることを考えれば、そうしたリスクを取るという決断をする人もいるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。