シスコシステムズは3月10日、記者発表会を開催し、同社のセキュリティ戦略とセキュリティ製品について話した。同社のセキュリティ事業部部長である桜田仁隆氏は、脅威がますます複雑になり検出が困難になっていると指摘。
一方で防御する側は90%が自社の策定したセキュリティポリシーに自信を持っている反面で、54%の企業に脆弱性が存在している。そのギャップは、ポリシーと運用との間にあるギャップであると指摘した。
また、Internet of Things(IoT)にかかわるデバイスが急増していることを挙げた。現時点で250億台ある該当デバイスは2020年には500億台に達するとみられ、その成長速度は電気機器や電話の5倍早いという。IoTの時代は既に始まっており、ここのセキュリティも重要であるとした。
ビジネスモデルの変革など3つの課題
これらの現状を踏まえた上で、桜田氏は現在のセキュリティ課題として「ビジネスモデルの変革」「新たな脅威への継続的な対応」「さまざまな環境への適応性」の3点を挙げた。
シスコの提唱する新しいセキュリティモデル
さらに、多くの組織に隠れているサイバーセキュリティ問題を解決するためには「問題の本質を把握」「組織としてリスクを理解する」「守るべき対象を明確にする」「準拠するべき法令を理解する」「投資対象を理解する」の5点を挙げた。
さらに、継続的な攻撃に対応するための新しいセキュリティモデルとして「BEFORE」「DURING」「AFTER」の3つのステージを紹介。各ステージで「制御、適用、堅牢化」「検出、ブロック、防御」「範囲の特定、封じ込め、修復」が必要であるとした。シスコにはこれらのステージに対応する製品やサービス群があり、特にネットワーク関連はシスコの得意領域と強調した。
シスコが考えるセキュリティ戦略
シスコの考えるセキュリティ戦略として、ネットワーク統合、広範なセンサベース、コンテキストと自動化による「可視性の活用」、継続的かつ高度な脅威への対策、クラウドベースのセキュリティインテリジェンスによる「脅威に重点を置くこと」、機敏かつオープン、スケーラビリティの確保、一貫した管理の「プラットフォームベース」を挙げた。これらについて、同社は最も包括的なアプローチが可能であるとし、また、教育の重要性についても言及した。
リスクコントロールフレームワーク
続いて同社セキュリティ事業のテクニカルソリューションズアーキテクトである西原敏夫氏が、同社の具体的な製品やサービスについて紹介した。現在、シスコのセキュリティポートフォリオは、次世代ファイアウォールの「ASA with FirePOWER Services」、サンドボックス「ThreatGRID」、メールセキュリティ「ESA」、ウェブセキュリティ「WSA/CWS」、認証・検疫・BYOD「ISE」、リモートアクセス「AnyConnect」、マルウェア対策「Cisco AMP」、クラウド型UTM「Meraki MX」、MDM「Meraki SM」などが主力製品となっている。
シスコのセキュリティポートフォリオ
脅威対策「IPレピュテーションフィルタ」に注力
さらにクラウド上のインテリジェンス「Collective Security Intelligence」と、それを支える脅威リサーチグループや全世界のセキュリティセンサや分析体制を紹介した。これらにより実現できる脅威対策として、IPレピュテーションフィルタを例に挙げた。
これは、ウェブブラウザで表示するサイトについて、所有者やサーバの設置場所、固定IPアドレスかどうか、いつ登録されたドメインかなどを評価し、レピュテーションスコアを算出することで、潜在的な脅威を顕在化するもの。
また、アンチマルウェアでは、クライアント端末上で行われたファイル操作を記録していくことで、マルウェアの侵入経路や感染状況をグラフィカルに表示する「デバイス トラジェクトリ(フライトレコーダー)」や「ファイル トラジェクトリ」を紹介した。
Cisco製品の連携によって不正アクセスやフィッシング、ドライブバイダウンロード攻撃を防ぐ動作などを紹介した。サンドボックス「ThreatGRID」では、マルウェアが動作する様子を動画で記録する機能も搭載しているという。
西原氏はシスコの強みとして、可視性の高さ、未知の脅威に動的に対応する仕組みの選択、複雑な脅威に対応する製品の連携、セキュリティ専任者の増員と社員教育の拡充を図ることを挙げた。
Collective Security Intelligence