独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は3月31日、人名等の正確な表記が求められる行政の実務に必要な約6万種の漢字を、市販コンピュータに通常搭載されているJIS X 0213の約1万種の漢字に置き換えて表記する場合に参照するための「縮退マップ(検証版)」を公開した。
「縮退マップv.0.1(検証版)」および「縮退マップ利用ガイド」はIPAのサイトに掲載され、同日より意見を募集している。
IPAでは、内閣官房IT総合戦略室と経済産業省とともに、人名などの正確な表記が求められる行政の実務に必要な約6万種の漢字を、情報システムで利用可能にするため、文字フォントの整備や文字コードの国際標準化を行う「文字情報基盤整備事業」を推進している。IPAでは、整備した文字を、2011年に本事業のサイトで公開している。
しかし、人名などの表記の正確さを必要としない日常業務や生活においても常に約6万種の漢字を使い分けることは、利便性の上で最適とは言えず、また使用する文字の範囲を絞り込むことにより、現状の携帯電話やスマートフォンなど利用できる情報機器が広がることが期待できる。この文字数の絞り込みに使われるのが縮退マップだ。
縮退マップでは、約6万種の漢字について、JIS X 0213の範囲内にある漢字との結びつきの有無や関係性を調査し、代替候補となる漢字の対応関係を整理している。なお、対応関係は「1つの代替候補が示されるもの」「複数の代替候補が示されるもの」「代替候補が示されないもの」の大きく3つに分類され、複数の代替候補が示される場合は目的や用途に応じて適切な代替候補を選択する必要がある。
この縮退マップを活用することにより、JIS X 0213の範囲内のどの漢字で置き換え可能か、代替候補を容易に見つけることができ、変換に要する作業効率の向上が期待できる。また、文字の置き換えの根拠を示す情報も付記されており、適切に置き換えるための参考にできる。
IPAでは、今回公開した縮退マップv.0.1(検証版)について意見募集を行っており、得られた意見を踏まえた改良を行った上で、2015年夏ごろに正式版となる縮退マップv.1.0を公開する。
縮退マップの活用イメージ