Appleの「iOS」と「OS X」に存在する深刻なゼロデイ脆弱性が、6人の大学研究者によって明らかにされたと、The Registerが報じた。研究者らは、「Unauthorized Cross-App Resource Access on Mac OS X and iOS」(Mac OS XおよびiOSにおける未許可のクロスアプリリソースアクセス)というレポートを公開し、脆弱性の詳細を明らかにしている。同研究者らによると、同脆弱性を悪用することで、パスワード群が格納されているキーチェーンの内容を読み出したり、アプリのサンドボックスを回避したり、「App Store」のセキュリティチェックを迂回できるようになるという。さらに、攻撃者はこういった脆弱性を突くことで、純正の電子メールクライアントを含む、インストールされているアプリからパスワードをこっそり盗み出せるようになるという。
The Registerによると、これら研究者のチームは、Appleの審査処理を一切怪しまれることなく通過し、App Storeにマルウェアをアップロードできたという。このマルウェアは被害者のMac製品にインストールされた際に、キーチェーンの内容を解読し、「iCloud」や「Mail」アプリを含む各種のサービス、そして「Google Chrome」内に格納されているすべてのパスワードを盗むことができたようだ。
同チームの責任者であるLuyi Xing氏はThe Registerのセキュリティデスクに対して「われわれは最近、AppleのMac OSとiOSで数々の深刻なセキュリティ脆弱性を発見した。これらの脆弱性により悪意のあるアプリは、iCloudやMailアプリのパスワードやトークン、そしてGoogle Chromeに格納されているすべてのウェブパスワードといった、他のアプリに保存されている機密データに許可なくアクセスできる」と語ったという。また、Xing氏とそのチームはAppleからの要請に応え、6カ月にわたって研究結果の公開を差し控えていたものの、今回の発表時点まで何の応答もなかったとしている。
Xing氏らは、この脆弱性を実証するデモを行い、動画で公開している。