海外コメンタリー

技術者に人気のコンテナ技術、ビジネス価値はあるのか?

Joe McKendrick (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル

2015-07-14 06:15

 情報技術の専門家で執筆活動も行うMike Kavis氏は、最新のトレンドであるコンテナ技術に注目し、今後確実に提起されるであろう問題について考察している。その問題とは、技術者はコンテナについて高く評価(または、少なくとも理解は)しているが、企業にとっていくばくかの価値はあるのかということだ。

 技術的なレベルでは、コンテナは時間を節約する手段だ、とKavis氏は説明する。「コンテナは数ミリ秒でプロビジョニングすることが可能だ。数分を要する(仮想マシン)と比べると、大幅な進歩だ。物理ハードウェアへのアクセスや、新しい物理マシンまたは仮想マシンをリクエストするための所定のプロセスによって、手作業でのプロビジョニングには数時間、数日、あるいは数カ月を要することもある」(同氏)

 しかし、このことは企業にとっては何の意味も持たない。Kavis氏は、「仮想マシンの起動に何分間もかかることや、仮想マシンを自動化するのに必要なコードの行数について、上司が頭を悩ませることはない。その技術がどれほどクールか、そして、あなたがその技術を使うのをどれだけ好んでいるか、といったことにも上司は全く関心がない」と指摘する。

 このような懸念は、ここ数年、サービス指向アーキテクチャ(SOA)について提起されてきたものと同じだ。そしてコンテナのビジネス価値は、実はSOAが最終的にもたらすもの(俊敏性の強化、品質の改善、顧客満足度の向上)と似ている。Kavis氏は、「これらは通常、最高レベルの幹部の評価基準になる項目だ」と話す。

 多くの点でコンテナ技術は、企業向け技術のプロバイダーとユーザーを何世代もの間じらしてきたビジョンの実現に向けて、さらに一歩近づくものである。そのビジョンとは、あらゆる言語で記述されたあらゆるアプリケーションをあらゆるプラットフォームで実行できるようにするということだ。Javaと「Java Enterprise Edition」フレームワークは「Windows .NET」とともに一定のポータビリティを企業のコンピューティング環境にもたらしたが、根幹をなすOSとアプリケーションの変革に依然として大きく依存していた。コンテナ技術を利用すれば、アプリケーションをどこに移動しても実行することが可能だ。

 つまり、「コードやコンテナに全く変更を加えることなく、ワークロードをリアルタイムでオンプレミス環境からクラウド環境に移動して実行することができる」とKavis氏は指摘する。

 もちろん、企業向け技術が成功を収めたと最終的に判断できるのは、可能な限り低いコストで洞察と市場での優位性を提供し、なおかつビジネスユーザーがインターフェースの裏側で行われている処理のことを全く考えずに快適に作業できるようになったときだ。

 ハイブリッドクラウド環境の柔軟性と優れたコスト構造を求める企業は、継続中の事業への影響を最小限に抑えながら、極めて迅速に移行を完了することができるだろう。ビジネスの観点から見ると、これはベンダーの囲い込みを回避するのにも有効だ。現在のクラウド環境に不満のある企業は、一連のアプリケーションの基盤となっているプロバイダーを即座に変更することができる。これにより、競争の激しいサービスプロバイダー市場をうまく利用する余地ができる。そうした選択肢があることは、どんなときでも有効なビジネス提案であり、コンテナ技術を企業に売り込むうえでもよい取っ掛かりとなるだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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