気象予報などの情報を提供するウェザーニューズの動きが活発になっている。6月2日には、欧州の大手海運会社が拠点を置くデンマークのコペンハーゲンに、航海気象サービスセンターを開設。航海ごとの目的にあわせて最適な航海支援を行う「Optimum Ship Routeing(OSR)サービス」のサポート体制を強化し、顧客満足度の向上を図っている。
6月23日には、フランスの家電メーカーであるNetatmoと気象データ分野で提携を発表。Netatmoは世界最大規模という気象センサネットワークを展開しているとともに、2011年から個人住居の気温や気圧などを計測できる機器を提供している。この提携で世界175カ国に設置されたセンサの気象情報が、ウェザーニューズの予報センターで把握できるようになった。

Weathermobの最高経営責任者(CEO)であるJulia LeStage氏
ウェザーニューズは5月21日に米企業Weathermobのアプリ事業の買収を発表した。Weathermobが提供するモバイルアプリ「Weathermob」は、米国最大規模のソーシャル天気サービスとされている。Weathermobの最高経営責任者(CEO)であるJulia LeStage氏とウェザーニューズ取締役の 石橋知博氏に話を聞いた。
――Weathermobはどのような企業か。
LeStage氏 気象情報を共有できる“ソーシャル天気サービス”を提供しています。私はもともとはイギリスのテレビ局で、キャスターや編集に携わっていました。テレビ局では気象情報をプロの気象予報士が解説しますが、実際の天気は現地にいる人が確認できるので、話を聞くといいのではと当時から考えていました。ある場所で雪が降っているなら、そこの人から直接「雪が降っています」と聞いた方が確実です。そこで、気象のプロの方と現地にいる人たちを近づけるような場所を作りたいと考えました。
天気を複数の人に現地からレポートしてもらうことをテレビではできなくても、インターネットを使えばできる。それをアプリを作ることで、証明したのです。最終的にはテレビの方よりもネットの方が重要になるだろうと感じて、やってみようと思ったことがきっかけです。
石橋氏 Weathermobは、クラウドソースのソーシャル天気サービスとして立ち上げたもので、ウェザーニューズがグローバルで展開しているソーシャル天気サービス「Sunnycomb」と似ています。現在、iOSとAndroid向けに無料のアプリを提供していて、ユーザーはアプリで空を撮影してコメントとともに公開できるのですが、その際に設定できる「ムード」という機能が特徴的です。ムードは絵文字のようなもので、たくさんの絵柄が用意されています。ユーザーはそのときの気分に合わせてムードを設定するわけです。
また、Sunnycombと似ていると言いましたが、Weathermob自体も天気の情報をユーザーから集めることによって、いわゆる観測機が設置されていない場所の天気情報をカバーすることができます。そのため、できるだけSunnycombと連携して、データを獲得するポイントを増やすことでユーザーにもっと正確な天気予報が出せるようにすることを目的に事業をともにすることにしました。
アプリとしては現在、40万ダウンロードでアクティブユーザーは10万です。平均セッションタイムが6分と長めなのですが、これは通常リアルで天気の会話をするときの一般的な時間という認識ですので、リアルの天気の会話がそのままモバイルアプリに移ったのではないかと思います。