大日本印刷(DNP)は、マーケティング向けに活用するデータ分析基盤を構築、それまで個別の環境で運用していたマーケティング支援サービスの分析を集約する。日本IBMが7月23日に発表した。
DNPは現在、購買履歴やウェブサイト閲覧履歴などの各種データを活用、分析して企業のマーケティング活動を支援するサービスを推進している。今回は、今後も需要が拡大する各種データの分析環境を整備するために、IBMの製品を生かして新たなデータ分析基盤を自社データセンター内に構築した。生活者に最適なプロモーション施策を立案できるマーケティング活動の実現と、収益性向上と競争力強化を目指している。
新たな分析基盤は、最新版のRISCプロセッサ「POWER8」を搭載するLinux専用サーバ「IBM Power Systems S812L」12台と、大容量の非構造化データを並列分散処理するプログラミングフレームワーク「Apache Hadoop」の機能を備えるソフトウェア「IBM InfoSphere BigInsights」を組み合わせている。
最新のデータ分析技術を専門のメンバー以外も容易に活用できるようにするため、従来のデータベース技術者のSQLスキルをそのまま生かしてHadoopを活用できるInfoSphere BigInsightsのBigSQL機能により、既存の「IBM PureData System for Analytics」と「IBM SPSS Modeler」で構成される分析システムとデータを連携し、ユーザーが一元的にデータを加工、分析できるようになっている。
新たに構築されたデータ分析基盤は、第1弾として購買履歴やアンケートの回答からライフスタイルや購買、生活などの観点で生活者の価値観を分析する「DNP生活者情報活用支援サービス」のデータ分析に活用される。DNPでは今後、今まで別個の環境で運用していたマーケティング支援サービスの分析を今回の分析基盤に集約することで運用コストの軽減、対応スピードの向上、分析に関する知見の社内での共有などを進める。
DNPは、分析基盤を社内のさまざまな分析業務のプラットフォームとして活用していく方針。バッチ処理高速化、アクセスログ解析、予測ロジック開発などを進めていくとともに、生活者の同意を前提としてさまざまな企業のデータと連携することで情報活用の可能性を広げ、生活者動向の把握によるウェブサイトでのリコメンデーションや“モノのインターネット(Internet of Things:IoT)”分野などでの活用を目指すとしている。
今回の分析基盤構築プロジェクトは、DNPと日本ユニシスが2012年8月9日に発表した業務提携における、企業とその顧客への対応力やスピードを強化する「マーケティングプラットフォームの共同開発・展開」の一環。構築に関しては、日本ユニシスがプロジェクト、品質の管理を支援し、日本情報通信がシステム構築(SI)を担当している。