ヤフーは、昨年秋「Yahoo! JAPAN」で収集したユーザーデータの解析を基にしたサービス「Yahoo! DMP」の提供を開始した。データ活用を中心としたマーケティングソリューション事業に注力するヤフー。
IBMやOracleといった大手エンタープライズIT企業がこぞって注力する市場であり、ヤフーなどのウェブ企業が注力することで、差別化要素が多様化し、競争の激化が予想される。ヤフーの狙いはどこにあるのか。同社でマーケティングソリューションカンパニー エグゼクティブユニットマネージャーを務める高田徹氏に話を聞いた。
ヤフーのマーケティングソリューションカンパニー エグゼクティブユニットマネージャーを務める高田徹氏
インターネット広告市場は、転換期を迎えている。調査会社のニールセンは2014年12月、「日本のインターネットサービス利用者数ランキング」を発表した。それによると、 2014年にPCでインターネットを利用した人数は月間平均で5206万8000人となり前年比8%減、月間平均4098万6000人で1位だったヤフーも前年比12%減となった。トップ10社すべてが、前年比2ケタ減となった。
背景には、スマートフォンやタブレット端末の台頭によるモバイルデバイスの多様化という事情がある。インターネットユーザーのメディア接点が分散化し、PCの利用者が減少。その結果、インターネット広告にも変化が求められている。
「インターネットはPCのブラウザで閲覧するもの」だった時代は、アプローチしたいユーザーが閲覧するウェブサイト(コンテンツ)に広告を表示させるのが一般的だった。しかし現在は、同じコンテンツであっても閲覧するデバイスは多岐に渡る。広告を表示するメディア側は、ユーザーの閲覧行動を把握しづらくなっているのが現状だ。
高田氏は「消費者の分散した目をつなげるもの、それはデータだ。今後はデータ活用を中心としたマーケティング戦略が重要になる。消費者個々の「カスタマージャーニー」を捉え、“適切なターゲット層に、最適なタイミングで、効果的なメッセージを届ける必要がある”と説く。
インターネットマーケティングで中核を担うのが、DMP(Data Management Platform)である。DMPは、企業が持つユーザーのサイト内行動履歴、検索履歴、購買情報といったデータを一元管理し、ユーザーごとにカスタマイズした広告商品の開発を実現する仕組みだ。
実際、DMP市場は急速に拡大している。ITRが発表した調査結果「マーケティング管理市場2014」によると、2013年度におけるDMP市場の成長率は、前年比25倍となった。
ヤフーは2012年6月、「2019年までに営業利益を2倍にする」との目標を掲げた。現在、同社の収益の約60%は、広告事業が占める。その70%を2倍にするためには、広告だけでなく、ビッグデータを活用したマーケティングにも注力しなければならない。その中核となるのが「Yahoo! DMP」であるというわけだ。