個別最適化しない情報では失敗する--オラクル、マーケティング向けSaaS強化

大河原克行

2015-04-13 16:19

 日本オラクルは4月10日、同社のプライベートイベント「Oracle CloudWorld Tokyo 2015」の開催にあわせて、マーケティング業務向けSaaS「Oracle Marketing Cloud」に活用した“モダンマーケティング”の現状などについて説明した。

 米OracleでMarketing Cloudのエマージングマーケットを担当するバイスプレジデントのAbe Smith氏は、「多くの企業でモダンマーケティングが求められているが、モダンマーケティングを実現するために必要とされるパーソナライズされた情報がユーザーのもとに送られていないという状況がある」と現状を言い表した。

 Smith氏は実態として「調査によると、96%のユーザーがターゲット違いのメッセージを受け取っていると感じており、77%が商品購入後にも、まったくその企業と関わっていないと感じている。78%がウェブやメール、モバイルなどの複数のチャネルで一貫性のある体験が提供されていないと回答している。大変残念なことである」と現在のマーケティングの課題を指摘した。

Abe Smith氏
Oracle Marketing Cloud エマージングマーケット担当バイスプレジデント Abe Smith氏

 「一方で、マーケティング担当者の12%しか自らの取り組みが業績に貢献していると感じていない。ユーザーからは直線的ともいえる回答を得ることしかせず、個別の顧客体験を提供するための環境がない、提供キャンペーン顧客の個別最適な体験の提供に貴重なデータを活用できていないばかりか、メールの担当組織が独立した形で動くなど分断されたメッセージが作られているのが現状である」(Smith氏)

100億以上のトランザクションにも対応

 Marketing Cloudは、こうした課題を解決できるものと位置付け、「エンドトゥエンドのマーケティングソリューションをクラウドで提供する唯一のベンダーである。競合他社は、CRM(顧客情報管理システム)からアプローチしたり、アナリティクスからアプローチしたりしているが、大切なのは、まずはデータ管理。そこから提案しているのはOracleだけである。これにより、適切な形でパーソナライズしたマーケティングソリューションを提供できる」と他社との違いを説明した。

 「EloquaによるBtoB向けマーケティング自動化ツール、ResponsysによるBtoC向けツールを用意。どちらにも対応しているのはOracleだけである。そして、数多くのポイントソリューションを提供しているのも特徴であり、300社以上のパートナーがカスタマーアプリを開発している。コンテンツマーケティングを提供している唯一の企業でもある」(Smith氏)

 Smith氏は現在のマーケティングで求められるものとして「マーケターが利用するソリューションは、シンプル性とインテリジェント性を両立していく必要がある。IT部門のサポートを不要にするシンプルさが必要であり、顧客のあらゆる属性を捉え、よりよいパーソナライゼーションを可能にする機能も必要」と解説した。

 「Marketing Cloudでは、ユニバーサルカスタマープロファイルを通じて、ひとつのインターフェースから顧客の行動や特徴、嗜好に基づいてターゲットを絞ることができる。そして、顧客のライフサイクルに対応した長期的な関係を構築できる。アナリティクス(分析)やインサイト(洞察)、あるいはクロスチャネルで対応できるといった点も特徴である。ビジネス価値を高めるために、マーケティングの簡素化、顧客中心主義、エンタープライズグレードのソリューションを提供。毎月100億以上のトランザクションにも対応している」(Smith氏)

クロスチャネルやDMPで機能を追加

 日本オラクルはMarketing Cloudのクロスチャネルマーケティングと電子商取引(EC)での高度な検索と個別最適化を実現するという「Oracle Commerce」、ウェブエクスペリエンス管理製品「Oracle WebCenter Sites」の連携を発表した。

 2つがこの連携することで、マーケティング担当者はキャンペーンマーケティング、ウェブ管理、ECサイトで共通したコンテンツとプロファイル情報を一貫性をもって利用できるという。顧客に有益な体験を円滑かつ包括的に提供できるようになり、クロスチャネルによるマーケティング活動を通じたコンバージョン率を向上し、収益拡大を支援するとしている。

 さらにMarketing Cloudに含まれる「Oracle Data Management Platform(DMP)」の新たな機能として「Lookalike Modeling」と「OnDemand On-Board」を提供すると発表した。Marketing Cloudでマーケティング担当者のマーケティングの自動化とウェブ解析ツールからのデータ活用の最大化を実現できるという。

 OnDemand On-Boardは、ウェブ解析ツールからデータを取り込み、DMP内でオーディエンスデータとして加工する機能で、ウェブ解析データを実用的なデータに変換できる。ウェブ解析ツールからのオーディエンスデータをシンプルな方法で分類でき、DMP内の独自データやサードパーティのデータと組み合わせて利用することもできる。

 「全世界では、7億件のサードパーティーデータにアクセスができるようになっている。日本でDMPは重要視しており、サードパーティーデータを増やしていきたい」(Smith氏)

Marketing Cloudで提供する機能
Marketing Cloudで提供する機能

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