北海道に家族で滞在する働き方、日本MSが「ふるさとテレワーク」実証実験

羽野三千世 (編集部)

2015-08-11 07:00

 日本マイクロソフトは8月10日、北海道別海町において、「滞在型テレワーク」の実証実験を実施すると発表した。3期にわたり、同社の一部社員が別海町に滞在し、廃校になった小中学校跡地を「別海町テレワークセンター」として活用しながら業務を行う。

 この取り組みは、総務省が提言する「ふるさとテレワーク」に関する地域実証事業の委託先候補に選定されている。ふるさとテレワークとは、都市部の企業が地方に人を派遣または移住させて、都市部の仕事を地方で行おうというもの。地方にサテライトオフィスやテレワークセンターを整備して、地方でも都市部にいるのと変わらずに仕事ができる環境を構築し、地域の実情や企業のニーズに応じた有効なモデルを検証する。


日本マイクロソフト 執行役 常務 パブリックセクター担当 兼 テレワーク推進 担当役員織田浩義氏

 将来的には、ふるさとテレワークで構築したインフラの活用や、都市部と地方の人材交流を通じて、地方での雇用拡大につなげていく構想だ。

 同社 テレワーク推進 担当役員の織田浩義氏は、滞在型テレワークの実証実験について「休暇と仕事を一緒に合わせた新しい取り組み」と説明する。同実証では「ファミリー滞在型テレワーク」という枠組みを用意し、社員が家族と一緒に別海町に滞在して、平日は仕事、休日は家族と共に観光などを行う働き方を検証するという。

「テレワーク週間 2015」は651団体が賛同

 同社は、2012年から年1回、全社一斉テレワークを行う「テレワーク週間」のイベントを開催してきた。2012年、2013年は災害発生時の事業継続を想定した訓練を目的として自社単独で実施。2014年は、テレワーク推進を目的として、パートナー企業32社と一緒に一斉テレワークを行った。

 2015年のテレワーク週間では、参加団体を大幅に拡大。企業、自治体、大学など651団体と連携して、8月24日から28日の5日間、テレワークの実践と、テレワークを推進するための活動を行う。


日本マイクロソフト 代表執行役 会長の樋口泰行氏

 同社 代表執行役 会長の樋口泰行氏は、「少子高齢化により労働力がひっ迫している。テレワークを推進し、労働機会を拡大することが急務だ」とテレワーク推進の意義を説明。テレワークを、育児や介護をする人の在宅勤務支援の切り口だけでなく、ワークライフバランス向上、生産性向上、地方創生などのための活動に位置付けて取り組むとした。

カラオケボックスをテレワークスペースに

 2015年のテレワーク週間では、一斉テレワークの実践だけでなく、テレワークを支援する取り組みも参加団体と共同で行う。NTTドコモとKDDIは、テレワーク週間の参加団体向けに、データ通信カードそれぞれ50台無償貸し出しする。人材派遣会社のパソナは、テレワーク週間に参加する派遣社員の労務管理をするための独自ツールを、参加団体に1週間無償提供する。

 ユニークな支援企業としては、「カラオケルーム歌広場」を運営するクリアックス、「ジャンカラ」を運営する東愛産業がいる。2社は、テレワークスペースとして、カラオケルームをテレワーカー専用の料金プランで提供する。「テレワークでの利用者には“マイク使用無し”という領収書を出して、会社で清算できるようにする」(樋口氏)

 日本マイクロソフト社内での2015年の新しい試みとしては、業務に専用機材が必要なため昨年までテレワークの実施が難しかったカスタマーサポート部門のテレワークを実践する。また、今年初めて、派遣スタッフの在宅勤務を試す予定だ。

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