ウェブブラウザ「Firefox」を開発するMozillaは、プログラマーが開発できるブラウザの拡張機能について、今後行われる変更を発表した。既存の拡張システムの土台であるXPCOMとXULについては段階的に削除していく。これに対しては、一部のFirefox開発者が怒りを示している。
MozillaのFirefoxデスクトップマネージャのKev Needham氏は、Mozillaは「Electrolsys」や「Servo」などの新しい技術をサポートするためににFirefoxを変更すると説明した。また、ユーザーをスパイウェアとアドウェアから保護し、アドオンのレビュー時間を短縮化する目的もあるという。
変更は以下の4つの方法で行う:
- 新しいAPI「WebExtensions」を実装する。WebExtensionsは「Google Chrome」「Opera」のモデルとだいたいの互換性があり、複数のブラウザ向けの拡張開発が容易になる。
- Electrolysisを備えた安全、高速、マルチプロセスのFirefoxバージョンを開発する。Firefoxアドオンがこれと互換性があるかどうか、開発者は動作確認をする必要がある。
- サードパーティーの拡張が安全性、性能を損なうことなく、またユーザーをマルウェアにさらすことなくカスタマイズできるようにするため、Mozillaは「Firefox 41」より全ての拡張に対し、Mozillaによる検証と署名を義務付ける。Firefox 41は、9月22日にリリース予定。
- XPCOMとXULベースのアドオンを非推奨にする。
XUL、XPCOM、両技術による制限のゆるいアドオンフレームワークを廃止する理由について、Needham氏は次のように説明している。「XPCOMとXULはFirefoxにとって土台技術ではある・・・JavaScriptでブラウザの大部分を作成できることは、Mozillaに大きなメリットをもたらしてきた。また、Firefoxのカスタマイズ性についても、他のブラウザよりも優れたものにできる。だが、これらの技術を利用したアドオンモデルは非常に制限が緩い。アドオンはFirefox内部の実装に完全にアクセスできる。モジュール性に欠けるため、多くの問題につながっている」。
一部のFirefox開発者はMozillaの変更に不満のようだ。人気アドオン「DownThemAll」を開発するNils Maier氏は、「XPCOMアクセスを持つXULベースのアドオンを非推奨にするとはひどいものだ。現実のものになったら、Firefoxを見捨てる」と記している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。