海外コメンタリー

仮想化時代の終わりを告げる5つの兆候

Janakiram MSV (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2015-08-26 06:45

 仮想化の時代は終わろうとしているのだろうか?最近起きた出来事やトレンドを見る限りでは、答えはイエスだ。この記事では、IT業界が仮想化の次の時代に移ろうとしていることを示す5つの兆候を紹介する。

1.コンテナの台頭

 サンフランシスコのPaaS(サービスとしてのプラットフォーム)会社だったdotCloudがLinuxのコンテナをベースとした新たな技術のデモを行ったとき、その技術はDevOpsの課題を解決する興味深い手法に見えた。しかし、それが時代を変えるような技術に成長するとは誰も予想しなかった。そのdotCloudは、今やシリコンバレーの寵児であり、10億ドル規模のスタートアップ企業であるDockerとなった。同社の技術は、ソフトウェアの開発と導入の形を再定義した。

 テクノロジとしてのDockerの成功は、Docker社だけに限らず、Dockerのエコシステムを構成する何百というスタートアップ企業にまで及んでいる。「Flocker」、「Weaveworks」、「Shippable」、「CoreOS」などは、Dockerの世界の成功例だ。CoreOSは、コンテナを実行するためだけのOSを作った最初の企業であり、Dockerとは別のコンテナ技術である「rkt」も作っている。「RancherOS」も、Dockerを実行するためのOSの例だ。

 最も成功したLinuxディストリビューションであるUbuntuを作ったCanonicalは、「LXD」と呼ばれる軽量ハイパーバイザを作っている。同社は、LXDは仮想マシン(VM)とコンテナの両方の良いとこ取りをしたものだと説明している。

2.仮想化市場の飽和

 Gartnerは、2015年のx86サーバ仮想化に関する「マジック・クアドラント」のレポートで、大企業のワークロードの約75%はすでに仮想化されていると述べている。これは、MicrosoftやCitrix、VMwareなどの従来の仮想化企業にとっては、警戒すべき事態だ。

 エンタープライズ顧客は、プライベートクラウドやハイブリッドクラウドを実装するための単純な仮想化以上のことを求め始めた。一部のワークロードは、インフラ経費を削減するために、すでにパブリッククラウドに移されている。またクラウドへの投資を最大限に生かすため、社内の基幹業務アプリケーションは、リファクタリングされ、再設計されている。このことが、エンタープライズ顧客にコンテナなどの新たなテクノロジを評価する機会を与えている。

 今はまだ時期尚早かも知れないが、最高情報責任者(CIO)や最高技術責任者(CTO)たちは、コンテナが自分の会社の事業に対して与える影響を理解しようとしている。大企業がコンテナを使い始めるのは時間の問題だろう。

3.ハイパーバイザ企業がコンテナへの取り組みを始めている

 仮想化市場の縮小に伴い、従来のハイパーバイザ企業はコンテナへの取り組みを始めた。この半年のうちに、Microsoft、Red Hat、VMwareがコンテナに対する積極的な取り組みを発表している。

 MicrosoftはDockerのツールとエコシステムをWindowsで利用できるようにするため、Dockerと協力関係を結んだ。同社は、「Hyper-V Container」と呼ばれるネイティブのコンテナ技術にも投資している。これは、Hyper-Vの仮想化技術を利用した、コンテナの分離に強みを持つ新たなコンテナ技術だ。それに加え、Microsoftは軽量のコンテナが利用しやすいバージョンの「Windows Server」(Nano Server)もリリースしている。Nano Serverは、クラウドとコンテナに最適化された、フットプリントを最小化したWindows Serverだ。

 Red Hatはコンテナへの支持を最も積極的に打ち出している企業の1つだ。同社はDockerやGoogleと協力関係を結び、「OpenShift」と呼ばれる同社のPaaS製品にコンテナやオーケストレーションツールを組み込んだ。また、Red Hatは「Atomic Hosts」と呼ばれる取り組みで、同社のLinuxディストリビューション (「Red Hat Enterprise Linux」と「Fedora」)をコンテナ向けに最適化しようとしている。

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