現在のセキュリティ対策に必要な考え方はどんなことか、その中で情報システム部門にできることは何か。そして将来は。ユーザーはどう解釈し、システムをつくるべきなのか――。編集部の呼びかけにセキュリティベンダー4社が集まり、座談会を開催した。今回は4回目(第1回)(第2回)(第3回)。
メンバーはシマンテック 執行役員 エンタープライズセキュリティ事業統括本部 セールスエンジニアリング本部長 外村慶氏、ブルーコートシステムズ エンタープライズ・ソリューション・アーキテクト 村田敏一氏、パロアルトネットワークス エバンジェリスト兼テクニカルディレクター 乙部幸一朗氏、トレンドマイクロ 上級セキュリティエバンジェリスト 染谷征良氏の4人。
--ベネッセの事件で実際に犯行におよんだのは5次請け6次請けの人ですが、システムにアクセスできる権限者でした。ヒューマンエラーや悪意のある権限者を押さえることは不可能という話も聞きます。実際のところはどうなのでしょう。
外村氏 ヒューマンエラーはどうしても起こる、しょうがないと言ってしまえばそれまでですが、これは非常に大事です。
起こりやすいところに起こるわけですが、さまざまなポイントがあります。ヒューマンエラーを起こす人もビジネスをしているので、それに逆らうようなルールや効率を妨げるようなものがあったときに起こるというのが1つ。
シマンテック 執行役員 エンタープライズセキュリティ事業 セールスエンジニアリング担当 外村 慶氏 エンタープライズセキュリティビジネスにおける技術支援業務全般を統括
それはエラーなのか、もしかしたら分かっていて守らないのかもしれませんが、単純な凡ミスではなく、必ず起こるところに重なって起こっているはずなのです。
例えば、交通事故がよく起きるカーブがあって、よく調べてみると下りながら曲がっていたりします。ヒューマンエラーも同じように何らかの理由があると思いますので、それを解くことでセキュリティの脆弱なポイントをカバーしていける。
多分その理由の1つというのは、セキュリティ対策とビジネスの効率化が引き合うところだと思います。おそらく、良いビジネスマンはビジネスを加速させることを考えます。
それがセキュリティと真逆な方向なのであれば、何らかの形で解いてあげないといけない。システムで解けるのであれば解く。それがまずひとつだと思います。
悪意のある権限者というケースは、もっと難しいと思います。分かっていてやっている。ある意味、犯罪者です。日本はメールに注目するという話がありますが、1つはメールが多いという理由、もう1つは、結局メール以外ならシステムで比較的止められるということ。
たとえばSkypeならば「業務でSkypeを使うな」と言えば止められます。でもメールはやめるわけにいかなくて、使うしかない。でも、メールというツールを使う上で、悪い人と良い人がいますので、それをどうやって見極めるかということになります。