「スマートハウス×IoT」の可能性を探る--東京工科大でワークショップ - (page 2)

羽野三千世 (編集部)

2015-10-17 08:00


Aチーム:3歳児を抱えた共働き夫婦
 仕事と育児に多忙で、夫婦の生活がすれ違いがちで会話も少ない。夫婦間の気持ちの共有、共感のための手段としてスマートハウスに“エージェント”を実装する。家にいる妻が「忙しいのに夫が育児を代わってくれない」と不満を抱えたとき、エージェントが「旦那さんは今週これだけ仕事が忙しい」という情報を提供、夫婦の相互理解を支援する。


各チームでペルソナのニーズを洗い出し


Bチーム:3歳児、飲食店経営の夫、外資系企業に勤める妻の家庭
 店舗兼住宅のスマートハウスに、食材の在庫を把握してその日にお店で使うお通しの提案までしてくれるスマート冷蔵庫、3歳児が一人で入ってきた場合は便座の蓋が開かないスマートトイレなどを実装する。さらに、センサでモニタリングするだけでなく、家の中で物理的なアクションを起こすための手としてセンサとロボットとが連携。“ゴミや害虫を発見したら自動的に処理する”といったシナリオを提示した。


Cチーム:未就学児のいる共働きの家庭
 イクメンの父親が子供に夕食を作ろうとしているシーンを想定。「親子丼を作ろうとした卵が足りない」という場合、ソーシャル冷蔵庫が近所の知り合いの家の冷蔵庫とつながり、「~さんの家に卵があまっている」ことを教えてくれる。


ポストイットを使ってアイデアの整理


Dチーム:小学校低学年と高学年の姉弟、共働きの夫婦がいる家庭
 家のモニタ機能が、住民の年齢を把握するとどうなるのかにフィーカスし、ペアレントコントロールのできるスマートハウスについてシナリオを提案。「子供しか家にいないときには呼び鈴の音を鳴らさない」「低学年の弟はコンロの火が使えないが、高学年の姉はお湯だけは沸かせる」など。


スキットでの発表の様子

ワークショップにみたスマートハウスの進化の方向性

 Aチームの「夫婦の共感を支援するIT」に対しては、他チームから「人間の相互理解のためにITがどこまで踏み込むべきか、考える必要がある」との意見が出た。IoTによって衣食住にまつわる雑事が効率化できる時代になったとき、そこで生まれた“家での時間”を何に使うべきなのか。スマートハウス×IoTが人々の生活を幸せする方向に進化することを願う。

 Bチームの「ゴミや害虫を発見したら自動的に処理する」アイデアは、ルンバのようなロボット掃除機が実用化されている時代に目新しさはない。しかし、家の中で、インターネットに接続されたIoT機器を制御するだけでなく、そこにあるモノやそこにいる人に対して遠隔から物理的なアクションができるロボティクスのテクノロジは、スマートハウスの可能性を広げると感じた。

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